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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの決意
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らですよ?」

 聞き飽きた褒め言葉だ、とダイバは思う。さっきチャンピオンの力量の一部を垣間見た今、そんな言葉に何の意味も感じられない。

「さて、今お前の持っているシンボルは3つか……明日には揃えられるか?」
「いくらなんでも早いよ。パパの追加したルールのせいで余力は残さなきゃいけないし、ジェムと一緒に行動してるから」

 エメラルドが余興と称して開幕と同時に告げたルールのせいで、島を歩くときはいつバトルを挑まれてもいいようにしなければならない。施設の攻略にはダイバといえど何度も戦わなければいけないので当然時間はかかる。加えてあの危なっかしいジェムと一緒に行動する関係上、自分の施設後略に専念するわけにもいかない。ダイバの考えでは、7つすべてを集めるにはあと一週間ははかかる想定だった。

「そう、ジェムだ。あいつの娘も2個シンボルは獲得してるはずだ」
「ピラミッドとクォーターのを持ってる。……だから?」

 意図を図りかね、刺々しく言うダイバ。ジェムがダイバより早くシンボルを集めればあいつに構う必要はないと言いたいのだろうか。だがそんなことはあり得ないと思っている。ジェムは、自分よりはるかに弱いから。

「なんだ、あいつと組んで7つのシンボルを集めるために一緒にいるんじゃねえのか?」
「ふふ……あなた、ダイ君はあの子と一緒にいたいから連れてるんですよ」
「組んで7つ……? チャンピオンへの挑戦権は7つのシンボルを集めた一人に与えられるんじゃなかったの?」
「なんだ、ここまで言ってわからねえか? 思ったより疲れてるみたいだな」

 母親の言葉は無視して気になることだけ聞く。するとダイバの父親はやれやれとため息をついた。その言葉の裏には、いつもの状態なら自分の息子であれば確実に気づくという確信がある。父親はいつもそうだ。

「あなた、ダイ君はまだ10歳なんだからちゃんとわかりやすく言ってあげましょう?」
「しょうがねえ。まず今日お前達を襲ったシンボルハンターは犯罪者ではなく俺たちが用意した仕掛け人だ」
「……知ってる。あんな子供だましに騙されるほど僕は馬鹿じゃない」
「なんだよ、わかってるじゃねえか。ならもう少し考えてみろよ。俺がただ子供だましのためにわざわざあんなゲストを用意すると思ったか?」
「……はあ」

 ダイバはシンボルハンターが誰かまでは知らない。だが父親の言い方からしてかなりの有名人なのだろう。帽子を目深に被り直して、父親が提示した問題を考える。

(せっかく獲得したシンボルを奪われるのは、本来なら挑戦者にとっては不利益でしかない。わざわざ挑戦者が減るようなことを、パパはしない)

 まずそれが前提だ。ダイバの父親はさっきバーチャルのレベルの話にも
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