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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの決意
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だね。私も、ジェムの考えていることを聞きたいな」

 頬を膨らませて怒るジェムに折れたような苦笑を浮かべるルビー。自分の荷物とノートパソコンを持ってジェムはそのまま部屋を出ていってしまった。部屋の中にはサファイアとジャックの男2人が残される。

「……ジャックさん、ここに来てからあなたはジェムに何を言ったんですか?」
「別にぃ〜? ただ今までいい子過ぎたからもうちょっと自分の本心に正直に、わがままを言っていいんだよとは言ったね。……20年前の君みたいにさ」

 もう10年は見ることのなかった呆気にとられたサファイアをにやにやと笑いながらジャックは言う。そこに込められたのはたった20年で大きく変わってしまう人間への、皮肉があった。

「なるほど……ありがとうございます」
「……全く、そこでお礼が出てくるあたりは変わったというべき関わってないというべきか」
「私は私の理想を追求するがゆえに、あの子の私への幻想を守らなければいけなかった。でもそれをあなたと……おそらくは、かつて私が憧れた人が壊してくれたのでしょう?」
「まーね。今から女二人は色々君の愚痴とか言うだろうけど、僕らはどうする?」

 と言いながらジャックはモンスターボールを器用にお手玉し始める。その中にはスイクンにレジスチル、はたまたジェムのラティアスと対を為すラティオスがいることをサファイアは知っていた。

「……私のポケモンも先ほどの戦いでは少し未練が残るようで。久々にお相手願えますか?ピラミッドキング」

 サファイアもモンスターボールを取り出す。その表情は穏やかだが、幽かに笑っていた。さっき娘にバカと言われたばかりなのに、挑まれたバトルを楽しもうとしている。

「ホント、根本的にバトル大好きなところは変わってないよね。そうでないと面白くないけどさ――いくよ!」

 もう何度目になるかわからないサファイアとジャックの勝負が始まり、自分とダイバの部屋に移動したジェムは母親のルビーと今まで話せなかったことやフロンティアで経験したもっと細かいことについて話す。ジェムたち家族の夜は、そうして更けていく。





――一方、バトルタワー最上部。父親から話があると言われてエレベーターでそこに向かったダイバは、既に集合している父と母、それに祖父を見てため息をついた。安っぽいSFの宇宙船のように壁中がコンピュータによる何らかの情報が表示されている部屋の中心に大きな黒い椅子があり、真っ赤な長髪に男性用の中国服で身を包んだ父親が肘をついて座っている。その傍らには椅子に座るのではなくもたれかかるようにして母親が寄り添っていた。綺麗な肌、色あせない紫の髪、外見的にも胸元の開いたドレスのような服装からも年齢を感じさせない。その二人の更に後
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