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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの決意
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のためには仕方なかったと考えて。ジェムは自分の正直な気持ちを言った。


「――――お父様のバカッ!!」


 やっていることはすごいし自分たちへの優しさもある。でも一人の娘として自分と母親への行いを納得できるかどうかはまた別の話だ。さすがに予想外だったのか、サファイアの眉が少し動いた。ルビーが思わず仲裁しようとする。

「ジェム、私は納得してるんだよ?仕事にまで迷惑をかけるわけにはいかないし、私は私の仕事をしてみせるって約束したから彼もそうして――」
「そうだとしても! お母様が苦しんで悲しい思いをしてるのに仕方ないなんて言ってお仕事ばっかりするお父様なんて『みんな』が笑顔になってても『私が』許せないのっ!!」
「ジェ、ジェム……」

 今まで見たことのない剣幕で怒る娘にルビーは何と言っていいかわからないようだった。納得済みの事とはいえ、やはり自分と娘よりも理想を優先していたことへ何の不満もないなんてわけもなく、強く否定も出来なかったのだろう。

「……そう思われても仕方ないことをしてきたのはわかっている。だから――」
「わかってないよ、お父様に今の私の気持ちなんてっ! たまに帰ってきた時も女の子の遊びはわかんないからってお話はしてくれてもあんまり遊んでくれなかったじゃない! お母様と話してるときも自分からはほとんどポケモンバトルの話しかしないし!」
「む……」

 初めて、淀みなく静かに返事をしていたサファイアが言葉に詰まった。ちょっとだけジェムの胸がすっとする。心からあふれる感情の波を、父親の後を歩くのではなく自分の為の力に変えて言い放つ。


「私、今までずっとお父様みたいな立派なポケモントレーナーになりたいって思ってたけど……憧れるのは、もうやめる! まだどうすればいいかわからないけど……私は私のやりたいことを見つけて、私のポケモン達とその道に進んでみせるから!」


 思いきり指さして荒く息をつき宣言する。勢い任せではあるけど、これではっきり覚悟は決まった。ジャックはその様子を見て大笑いした。

「あははははははっ!! もう13歳、反抗期を迎えてもいいころだとは言ったけどここまで言うとは思わなかったよ! それでどうする? ジェム、このままお父様と同じ部屋で寝るかい?」

 完全に面白がってわざと煽る言い方をするジャック。ジェムもそれは薄々感じながらも、ここまではっきり言っておいて今から隣のベッドで寝ますというのは嫌だった。通話中のノートパソコンを画面は開いたまま持ち上げる。

「……昨日泊まった部屋は今日も使えるはずだから、私はそっちで寝るわ! お父様、このパソコン借りるからね、今日はいっぱいお母様と話して色んなことを教えてもらうんだから!」
「……そう
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