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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの決意
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、ジェムはすごい子だよ。……正直、私の過去を見たって聞いた時は私のことが嫌いになるんだろうなって思った。あんな風に言われたい放題で何一つ期待に応えられず、ジェムが生まれてからも心のどこかで疎んじてるような女だからね。でもジェムは私を心配してくれているだろう? ……それだけで、私は今まで頑張ったすべてが報われたよ。あの人は昔から嘘が達者だからいろいろ言ったと思うけど……それでもジェムは、私のことを好きだと言ってくれる優しくて強い子に育った。母親として、それ以上嬉しいことなんてないよ」
「ほん、とう……?」

 そこでルビーは、ジェムに微笑んだ。それは今までジェムには向けられず、かつてのルビーの手持ちであるキュウコンやサファイアに向けられていた笑顔だった。

「本当だよ。信じられないかもしれないけど……これからゆっくり、今まで話せなかった色んなことを話そう」
「うん……わかった。楽しみにしてるね」

 だから、ジェムもそれを理解して涙を止めた。まだまだこれから話す時間はいくらでもある。涙を拭って、娘と母は盲信でも背信でもなく、ごくごく自然な表情で向かい合うことが出来た。

「それでね、お父様……お父様には、聞かなきゃいけないことがあるの」
「……言ってみるといい」

 ずっと静かに聞いていた父親の方をジェムは向く。ホウエン地方のポケモントレーナーの頂点に立ち続けた、ジェムが憧れて全肯定していた父親に生じた疑問を、ぶつけなければならない。生唾を飲み込み、聞く。

「お父様……お母様があんなに苦しんでたことを知ってたなら、もっとそばにいてあげることは出来なかったの? もっとたくさん家にいて、支えてあげることは出来なかったの?」

 勿論チャンピオンとしての仕事があるのはわかっている。ホウエン全土をあちこち移動してバトルを見せたり、他の地方の四天王やチャンピオンと戦ったりしてみんなを笑顔にする行いは憧れてきたとおり偉大だ。でも、だからといって。自分の大事な人が苦しんでいることを知っていたにしては、サファイアが父親として家にいる時間はごく短いものだった。

「……言い訳はしない。私には、あれ以上ルビーのために時間を割いてやることは出来なかった。みんなを笑顔にするチャンピオンであるために」
「つっ……!」

 ここに来る前のダイバやアルカに対してのような、ある種の突き放すような言葉だった。テレビでお客さんを楽しませているときのサファイアとは明らかに違う言葉だった。

「どうして? お父様にとってお母様はすごく大事な人だよね? お母様があんなに苦しんでたのに、お父様はみんなを笑顔にしてたって言えるの?」
「ジェム……それは」
「いいんだ、ルビー。そうだ、私はジェムの知る通りルビーの傍にいてや
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