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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの決意
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ック。ジェムよりもその両親よりもずっと長生きなのに、その挙動はまるで末っ子のようにも見えてしまうから不思議なものだ。いつもの彼にサポートしてもらって、ジェムは今までのことを話し始める。

「私ね……ここに来たときは毎日ジャックさんと稽古してたし、お父様の娘だし、ブレーンになんか負けないって思ってた。でもね、全然そんなことなかった。ブレーンの人にも負けたし、バーチャル相手に一回戦で負けたりして、すっごく悔しかった」

 その悔しさも、自分の力を過信していたがゆえのものだった。バトルダイスのブレーンの人の言葉にも応えず、みっともないことをしてしまったと思う。バトルダイスへの挑戦やゴコウとの戦い、そこで言われたことをまずは話す。

「ダイバ君にも全然敵わなくて、優しいふりをした男の人に騙されそうになって。もう少しで悪い人になるところだった」

 チャンピオンの娘、という立場に目を付けて自分を利用しようとしていた男の事を話す。ただ輝かしいだけだと思っていた自分の立場を、悪く使おうとする人がいるなんてあの時まで考えもしていなかった。アマノという男に慰められてなんとなくついて行ってしまったことや、その時ダイバに助けられたことを伝える。

「お父様を悪く言われて何も考えずに怒ったり、あなたのファンだって言われて浮かれて、また騙されたり。私、一人じゃ何もできなかった。早く旅に出たいなんてずっと言ってたけど……今の私じゃとても無理だったんだって、わかったの」

 ダイバに助けてもらった後も、自分は弱いと思った、でもそのあともチャンピオンに敵意を向けるドラコのこともただ否定しただけでちっともその意味を理解しようとしなかった。アルカの心の苦しみの理由を考えずただ助けたいがために無茶をした。自分と同年代の女の子と会った時の気持ちを言葉にした。ダイバやドラコ、アルカに比べて自分がいかに甘えた子供だったかようやくわかり始めた気がした。

「でもね、そんな私だけど、ラティやみんなが支えてくれたから……ネフィリムさんや、ジャックさんに勝ってシンボルは取れたんだよ」

 自分のフロンティアパスにはめられた二つのシンボルを両親に見せる。ジェムの話をずっと真剣に聞いていた二人は、小さくだが笑顔を浮かべて頷いてくれた。ジャックもいやーまさか負けるとは思わなかったなー、なんて照れ臭そうに言った。

「だからね、お父様お母様。私のことを大切に思ってくれるポケモンをくれてありがとう。すごくありがとう。それでね、二人に聞きたいことがあるの」

 まずは両親とポケモンに出来るだけの感謝を込めて頭を下げる。そしてあのシンボルハンターに教えられた両親の過去の一部。一度はジェムを絶望させた予想だにしなかった過去。ジェムはシンボルハンターと名乗る男との戦い
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