子供たちの決意
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エメラルドは観察し、支配している。そうして、ダイバたちの家族の夜が更けていく。
――一方フロンティアのとあるホテルの一室。ダイバを動けなくするために戦っていたら現れたチャンピオンとジェムに邪魔されたアルカは自分とアマノの隠れ家であるそこに戻っていた。このフロンティアに来る前に自分の毒ポケモンでトウカシティに毒ガスをまき散らす事件を起こすことでチャンピオンをそちらに釘付けにする手はずだったのだが、どういうわけかチャンピオンは平然とここにやってきていた。部屋の中にいる黒髪を一部だけ赤く染めた長身痩躯の男に、苛々を隠さずに話しかける。
「どういうことですかアマノ? チャンピオンはホウエンで何か大規模な事件が発生すれば解決に動くのではなかったのです?」
アルカはそう聞かされていたからこそ、吸い込んだら数日は寝込み激しい頭痛がするが、アルコールのような時間経過とともに体の機能によって自然に分解される命に危険のない毒をわざわざ作って自分のウツボットやマスキッパとばらまいてきたのだ。なのにこれでは骨折り損であるばかりか無駄にトウカシティの人々を苦しめてしまったことになる。
「……このフロンティアのオーナーの仕業だ。あいつが今チャンピオンを確実に招待するために自分の会社で解決を請け負いやがった。無償でだぞ? 全く信じられん」
が、苛々しているのはアマノも同じだったらしい。それは予想に反してチャンピオンがここに来たからでもあるし、別の理由もある。今この部屋にいるアルカより少し年上の少女のせいだ。美しい金髪に、紺色の派手なマントがついた燕尾服を着る彼女は手持ちであるチルタリスの羽毛を丁寧に掃除してやりながら派手に笑う。
「ふはははは! 私を洗脳するのも失敗する、チャンピオンは平然とここにやってくる、貴様の作戦は穴だらけだなアマノ!」
「うるさいぞドラコ! 私の操り人形の分際で……」
服装から見たままのドラゴン使いであるドラコは、昨日アマノの策略にはまり服従の催眠術をかけられた。普通ならそこでドラコはアマノの忠実な操り人形になるはずだったのだが、ドラコは異常なまでのドラゴン使いとしてのプライドの高さと精神力で催眠術にかかりながらもほぼ自我を保っている。おかげでうるさくて仕方ない。
「はっ、操り人形だと? 今私がここにいてやっているのはそうすればチャンピオンと戦えるかもしれないというメリットを感じているからこそだ。アルカには同情してしまうな。こんな軟弱な男に従うしか生きる道がなかったとはとんだ不運だ」
「貴様……ええい、『黙れ』!!」
「……」
アマノが命令するとドラコは肩を竦めて黙り、大人しくチルタリスのブラッシングに戻った。催眠術によって絶対服従ではあるので命令は効く。
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