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フロンティアを駆け抜けて
子供たちの決意
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なんて自分にとって利用できると思ったからに過ぎない。むしろ今の指示ではっきりとジェムを連れていた意味ができる。父親が母親をお金を稼ぐために利用したように、自分にも同じことが出来るはずだと。

「ふふ……ダイ君は本当に賢いいい子ですね」
「当然だな。だが二つ忘れるなよ? まずあいつの娘は、この二日で見違えるほど強くなってる。もはやお前が蹂躙したときの甘ったれただけの子供じゃねえ」

 人差し指を立てて父親が言う。その言葉をダイバはただの脅しだと思った。さっき会った時のジェムは相変わらず父親のことを盲信しているとしか思わなかったからだ。むしろ気になるのは、もう一つの方だ。それはこのフロンティアに挑戦するときにわかっていたこと。

「そして何より。7つすべてを集めるには、当然タワータイクーンからのシンボルを獲得しなきゃいけねえ。つまり……この俺様にポケモンバトルで勝たなきゃいけねえてことだ。お前とあいつの娘のどちらかがな」
「……わかってる」

 バトルクォーターを母親のネフィリムが務めているように、このバトルタワーのブレーンはオーナーである父親――エメラルドだ。彼のポケモンバトルの強さは……ダイバでも、勝てる自信があるとは言えない。

「話は以上だ。もう自分の部屋に戻っていいぜ」
「……わかった。グランパ、今からファクトリーに入ってもいい?」

 話は終わり、ダイバは深いため息をついた後踵を返す。そして自分の祖父に尋ねた。祖父もその意味を察して頷く。

「勿論、許可しまぁーしょう。我が孫が義理の息子に打ち勝とうとするのに協力を惜しむわけにはいきまぁーせんからねえ」
「……ジェムなんかがパパに勝てっこない。明日、僕がパパを倒す。そしてジェムからシンボルを奪って、あのチャンピオンを超えてみせる」

 ダイバはそのためにわざわざこんな茶番劇のような施設に挑戦することにしたのだ。ホウエンの社会を操る圧倒的強者の父親にバトルで勝ち、ポケモンバトルの王者であるチャンピオンにも勝つために。その為の対策を、今夜改めて練る。
 祖父と連れだって部屋を出ていくダイバを見送り、父親であるエメラルドは小さく笑った。

「くっくっ……あいつも自分の意思ってやつが出てきたな。まだまだ俺の指示は必要だが」
「そうですね、あの子が自分から同年代の子と一緒に行動しようとしたのなんて、初めてですもの……それもあなたのようにしっかり利用しようとしている」
「ああ、それであいつらが競い合い、どちらかがいち早く7つのシンボルを集めてくれれば好都合だ。フロンティアの最終計画を実行するうえでも……な」

 まるでゲームマスターがプレイヤーキャラクターの動きを見守るような言葉だった。フロンティアという盤上で、挑戦者の動きを
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