33部分:神剣その三
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神剣その三
「その数八万、今イード砂漠へ進軍中らしい」
「・・・どうやら助かりそうですね」
堅苦しい顔を綻ばせケインが言った。
「ああ。もうしばらくの辛抱だ」
「ともあれ援軍が来てくれるってのは心強いですよ、本当」
アルバが軽く笑った。
「これでレンスターが救われる望みがでてきたんです、やりましょう」
ロベルトが拳を握り締め熱く語った。
「よし、カリオンは北門、ケインは東門、アルバは西門、ロベルトは南門の指揮を執ってくれ。僕とフィンは随時敵の攻勢が激しい場所へ向かう。ナンナは傷付いた兵士の治療を頼む」
「了解」
「解かりました」
「何としてもこの城を守り抜くんだ。そしてこの美しいレンスターの大地を我等の手に取り戻すんだ!」
「おおーーーーっ!」
城内が解放軍南下の報に沸き返っていたいた頃攻め手であるレンスター軍ではある変化が起こっていた。
「殿下、やはりメルゲンは戻られますか」
騎士の一人が銀髪を立たせた黒く細い瞳の長身の若者に問うた。足首まである緑の法衣の下に白ズボンとブーツを履き、緑のマントを羽織っている。彼こそフリージの雷帝イシュトーである。若いながらも政戦両略に長けフリージ家によるレンスター統治の柱の一人となっている。また神器の継承者ブルームからトードの、先代ヴェルトマー公の妹の子であり皇帝アルヴィスの従妹でもある母ヒルダからファラの血を受け継ぎ、マージファイターとして雷と炎の魔法を使いこなす事でも知られていた。性格は父や母に似ず寛容で情を知り、『魔法騎士トードの再来』と呼ぶ者すらいた。この度のレンスター城攻略においては四万の兵を率い、総司令官として出陣し、リーフ達を追い詰めていた。
「うむ、イザーク全土を占拠したセリス公子の軍が南下して来るとの報告が入った。メルゲンで彼等を迎え撃つ。後の事は頼む」
「解かりました」
騎士は左手を胸のところで水平にするフリージ式の敬礼をした。
「私の後の指揮はグスタフ侯爵が執る。もうすぐこちらへ到着するだろう」
「グスタフ候ですか・・・・・・」
騎士は顔をしかめた。グスタフの悪行はレンスターでは知らぬ者がいない程だ。イシュトーは顔をしかめた部下を嗜めた。
「そう嫌な顔をするな。父上がお決めになった事だ」
「解かりました」
イシュトーはレンスターの高い城壁を見上げた。城壁の上にはゲイボルグが中心に置かれたレンスター軍の旗が林立している。
「本来ならばゼーベイア将軍に指揮を執ってもらうつもりだったが彼は元々レンスターの重臣、かっての主君や同僚と戦うのは心苦しいだろうからな。我が妹イシュタルはトラキアの動きが怪しくて動けぬ、ラインハルト将軍もだ。他に将がいないのだ。レイドリックやケンプフなどもっての他だしな」
「解かりました」
「頼んだぞ。そし
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