32部分:神剣その二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
神剣その二
−レンスター城ー
レンスター連合王国の時にはレンスターはレンスター王国の王都、即ち連合王国の王都であった。だがトラキアの侵攻により王都は陥落し、美しい王宮も街並みも破壊され多くの人々がトラキア軍により殺された。とりわけ王族はかろうじて逃げ延びたリーフ王子以外は捕らえられ、レンスターの民衆の前でトラバント王の手により首を刎ねられた。その後グランベル帝国の侵攻によりフリージ家の領土となったがかってアルスターの宰相グスタフが領主となりその圧政下に置かれた。
グスタフは己が贅沢の為に民に重税を課し払えない場合は兵を派遣し徹底的な収奪を行った。民衆の怒りは極限にまで高まり、かってのレンスター王家の統治の復活を望む声が次第に高まっていった。
その中でイザークでの解放軍の活躍は圧政に苦しむ彼等に希望を与えた。そしてグスタフがアルスター城のブルーム王へ謁見に行っている隙に乗じてそれまでレンスター各地を転戦していたリーフ王子と旧レンスターの遺臣達が城を占拠した。しかしすぐさまイシュトー王子率いる討伐軍が差し向けられた。
「フィン、戦局はどうなっている?」
白の服とズボンに白と金の鎧、白マントと白ブーツに身を包んだ少年が城内の一室で青髪の騎士に問うた。少年の髪と瞳は茶であり幼さが残るが強い意志と情熱がはっきりと表われている。彼こそがキュアンとエスリンの遺児リーフである。
「思わしくありません。四方を完全に包囲され攻撃が止む事はありません」
フィンと呼ばれた青髪と青の瞳の壮年の騎士はレンスター式の敬礼をし答えた。青い軍服と白ズボンの青マントとブーツを身に着けている。やや小柄な主君と比べると頭一つ高い。今まで十数年間主君を護りレンスター各地を放浪していたせいか
ややつれている感がある。
「流石は雷帝、手強いね」
「グレイドとセルフィナがイザークに辿り着けばセリス公子からの援軍が期待できるのですがあの波では・・・」
その時茶の髪と瞳の若い騎士が入って来た。気品のある顔立ちから位の高い貴族の出身であると判る。赤茶の軍服に灰色のズボン、ライトグレーのマントとブーツを身に纏っている。
「リーフ様、イザークへ向かったグレイド殿とセルフィナ殿からお手紙です」
「本当かい、カリオン」
「はい、こちらに」
カリオンは鳩の足に結び付けられていたらしく風と潮でくしゃくしゃになった手紙をリーフに手渡した。それを読むリーフの顔が次第に明るくなっていき読み終えた時には今にも飛び上がらんばかりだった。
「フィン、主立った者達を集めてくれ」
「解かりました」
フィンは最初主君の喜び様に戸惑ったがすぐに察しがつき早速主立った者達を部屋に集めた。
部屋に新たに四人の騎士が入って来た。
最初に入って来たのは赤がかった金髪に黒い瞳の若い騎
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ