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kissはいつでも無責任!
生まれつきの特殊能力だぁ? ロクなもんじゃないよね!
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うーん……」

 事の重大さに一人嘆息する。考えていても仕方ないが、厄介なことになってしまったものだ。冷静に考えたら放置とか最悪じゃないか……。

 かつて僕の能力にかけてしまった人は、苦労したものの最後にはちゃんと戻した。だから大丈夫かとは思うが――次はいつ遭遇できる? そもそもそんな機会自体あるのか?

「……喉乾いたし帰るか」

 思考した末、ひとまずこの結論に至った。ハッキリ言って現実逃避である。僕は立ち上がり、もと来た道を下り出した。


 ――――だがその時。木々に阻まれて見えない下方から、何かが駆け上ってくるのが聞こえた。

 まさか曜ちゃんか?
 いや動じるな。ここまで追ってくるはずはない。もしこようものなら、もはやヤンデレだ。かつて僕の能力に侵された人は、デレデレになってもヤンデレになったことなどない。きっと別の人だ。通りすがりさ、そうであってくれ。

 僕は動けず、固唾を飲んで棒立ちする。擦れる足音が近くなり、やがて上がってくる人物の影の先っぽが地面へぬっと伸びてきた。

「誰……なんだ?」

 自分でも信じられないほど掠れた声が出た。無性に体が震える。悪寒が背筋をくすぐる。


 ドクンと大きく鼓動が波打って――しだいにそれは減速し始めた。現れたのは、背中ほどまである長いポニーテールの髪をしたナイスバディな美少女。つまり知らない人だった。


「……あははは」

 ――びっくりしたぁ。

 安堵と圧倒的脱力感のままに、僕は固く笑った。その後すぐ下りを再開した。いつもなら綺麗だなとか考えつつ、美少女を眺めたかもしれない。でもそんな気分ではなく、ただただ帰りたくなった。ぶっちゃけ気疲れした。

 が、

「あ、待って待って!」

 後ろから呼び止めがかかり、僕の歩行は中止を余儀なくされた。辺りは無人だったので、おそらくは美少女だ。できれば声をかけないでもらいたかった。

「……はいぃ?」

 面倒くささにだらだらと振り返ると、やはりその娘。どういうわけか嬉しそうだ。

「君って、もしかして大颯くん?」
「うわ……なんで知ってるんすかねぇ」

 見ず知らずの人に名前を言い当てられて思わず本音がもれる。なにこの人コワイ。

「やっぱり大颯くんか〜久しぶりっ!」
「むぐっ――!?」


 しかも突然、抱きつかれました。
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