3部分:旅立ちその二
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先に駆けていったホメロスとラルフを六人は追いかけていった。周りから解放軍の兵士達が現われそれに続く。城門が見えてきた。そこに一人の若者が立っていた。
「セリス様・・・・・・」
ラクチェに名を呼ばれた若者は静かに一同の方へ近付いてきた。青の長い髪とサファイアの輝きを放つ瞳を持つ中性的な面立ちの細身で長身の美しい若者である。青い軍服とズボンに身を包み赤地の青マントを羽織っている。ブーツは白い。表情は穏やかかつ優しげであり、物腰は優雅で気品が漂っている。セリスが微笑みながら口を開いた。
「まさか僕を仲間外れにするつもりじゃないよね」
少し悪戯っぽさを含んだ笑みだった。
「しかしセリス様、セリス様にもしもの事があれば・・・」
「止めてよ、ラクチェまで僕を子供扱いするのかい?これでも剣の修行は十分積んでいるよ。少なくとも皆の足手まといにはならないさ」
「・・・・・・・・・」
ラクチェ達はしばし考え込んでいたがやがて顔を上げセリスを見やった。
「解かりました。セリス様、共に参りましょう」
スカサハの言葉にセリスはにこりと微笑んだ。そして剣を抜き高々と掲げ言った。
「行こう、皆。イザーク軍を追い返すぞ!」
城内が歓声に包まれた。
イザークの先遣隊三千はティルナノグとガネーシャの境にあるコーンウォール峡谷を抜けティルナノグへ向け進軍していた。山賊やならず者を兵に仕立てた者達で構成されており錆すら満足に落としていない斧や粗末な皮鎧といった武装であり、隊形すらとっていなかった。彼等の前に迎撃に出たセリス率いる解放軍二千が姿を現わしたのは三千の兵がほぼ峡谷を抜けた後だった。
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