黒騎士だからって、いつも余裕にあふれてるという保証はないわ(堕天使談)
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、湧丞はすぐに立ち直った。最近は奮起して強くなろうとトレーニングさえしている。その勢いは、やりすぎじゃないのと心配に思うほどに。
じゃあテストができなかった、とか?
……あり得ない。このまえ私に促したんだもの、ちゃんとテストを意識しているあたり対策を怠るなんて考えにくい。
そうよ。抜け目ない湧丞に限ってそんなこと――――
「いや、もしかして……」
そんなこと、あるかもしれない。“トレーニング“、まさにそれが原因かもしれない……?
昨日も一昨日も湧丞は、
『鍛練あるのみだ!!』
なんて張り切っていた。
軽く流していたけど……もし湧丞が本当に全然勉強せず、トレーニングに打ち込んでいたとしたら?
――ピーッ! ピーッ!
「ひゃっ!?」
騒ぎ立てる機械音が、思考の海からヨハネを現実に引き戻した。うっかり冷蔵庫を開けっぱなしにしてしまっていたのだ。私は慌てて目的のチョコを取り、扉を閉める。
「なによもう……びっくりしたじゃない」
なんだか毒気を抜かれた気分になった。冷静になってみれば、何もそこまでヨハネが湧丞のことを案ずる必要もないじゃない……とりあえずチョコを食べようかな。
私は踵を返して部屋へ戻ろうとする。
けどその前に、来客を示す鐘が慌ただしく響いた。
――ピンポーン! ピンポーン!
「――!?」
思わぬ不意打ちにヨハネの心臓が跳ねる。たぶんママじゃない。まだお昼すぎだし、帰ってくるはずはない。
胸中に言いようのない予感が走る。なんとなく、宅配の人でもない気がする。インターホンを鳴らした人物は……まさか!!
私はゆっくりと玄関へ忍び寄って、おそるおそるドアスコープを覗く。
その先には想像した通りの訪問者が映っていた。腰に黒い刀を引っ提げる、見慣れた男が。
腕組みして堂々と立ち、こっちの応対を偉そうに待ちながらも――まるで未熟な果実のように顔を青くした、どうやら完全に余裕を無くしたらしい様子の……ヨハネの黒騎士がそこにいた。
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