堕天使と黒騎士、魔の地(校外)へ赴く??
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「ああ」
ポカンとして我の方へ顔を上げた堕天使に、頷きを返す。
根拠はない。が、我が大技を繰り出せばこの状況を――彼女が悔やむ状況を、変えれそうな気がした。たとえ駄目だったにしろ、全力を出さずして何が黒騎士だろう。多少やっていることが黒騎士とは正反対の“聖騎士“くさくたって構わぬ。
我は右手に持ち合わせていた黒刀を、晴れ間皆無の広大な天空へ翳した。
「いいか堕天使。これからあの馬鹿げた雲々を、我が技で遥か遠方に吹き飛ばす!」
「無理よ! 湧丞だってわかってるでしょ?」
虚しくなるだけとでも思ったのか、堕天使は我を止めようとした。だが我は、今度は首を縦には振らない。
「ハハハッ……堕天使が困っているのに、黒騎士が黙って屈するわけにはいくまい」
「湧丞……」
堕天使は暫く複雑そうにして我を見つめていたが、
「うん……じゃあなんとかしなさい、リトルデーモン!!」
笑顔で背中を押してくれた。
これで退けなくなった。そして――――
「承った! いくぞぉぉぉぉぉぉ!!!」
――――闘う理由は、十分だ!
刀を構えて腰を落とし、空気をうんと吸い込む。
空気は脳に、肺に……やがて全身のすみずみに行き渡って、我に力をみなぎらせた。
狙いは天空一点。我は黒刀を振り上げ、全てをぶつけた!
「あまねく邪雲共、散り去るがいい――
“裂空の一閃“ ッッッ!!」
〜〜‡〜〜‡〜〜‡〜〜
「ここからは自由行動とします。指定された範囲内であればどこを回ってもいいですが、それ以外の場所には行かないでください。また、14時までにはバスに戻るように!」
目的地に到着して停車したバス内。担任が全体に諸注意を促している。皆浮わついた心境にあるのか、真面目に聞いている者は殆どいない。
現在は遠足中。ただし遠足が施行されたのは豪雨の後ではなく、予備日。
……要するにあの日、何も起こせなかったのである。技がまるで通じなかったのだ。空があんなにも強き存在だとは。我は退けることができると信じていた。
「湧丞、班の皆とバスの外で待ってるわよ!」
「う、うむ。すぐ赴く」
まあ、幸いにもこうして予備日が快晴になってくれた。堕天使も楽しそうである。結果的には問題なしだ……ただし、我はある誓いを心に刻んだ。
「もう空とは当分闘わんッッッ!」
我は出てきそうになった悔し涙を堪え、席を立つのだった。
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