暁 〜小説投稿サイト〜
堕天少女と中二病少年
堕天使と黒騎士、魔の地(校外)へ赴く??
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

「ああ」

 ポカンとして我の方へ顔を上げた堕天使に、頷きを返す。

 根拠はない。が、我が大技を繰り出せばこの状況を――彼女が悔やむ状況を、変えれそうな気がした。たとえ駄目だったにしろ、全力を出さずして何が黒騎士だろう。多少やっていることが黒騎士とは正反対の“聖騎士“くさくたって構わぬ。
 我は右手に持ち合わせていた黒刀を、晴れ間皆無の広大な天空へ(かざ)した。

「いいか堕天使。これからあの馬鹿げた雲々を、我が技で遥か遠方に吹き飛ばす!」
「無理よ! 湧丞だってわかってるでしょ?」

 虚しくなるだけとでも思ったのか、堕天使は我を止めようとした。だが我は、今度は首を縦には振らない。

「ハハハッ……堕天使(主人)が困っているのに、黒騎士(リトルデーモン)が黙って屈するわけにはいくまい」
「湧丞……」

 堕天使は暫く複雑そうにして我を見つめていたが、

「うん……じゃあなんとかしなさい、リトルデーモン!!」

 笑顔で背中を押してくれた。
 これで退けなくなった。そして――――

(うけたまわ)った! いくぞぉぉぉぉぉぉ!!!」

 ――――闘う理由は、十分だ!

 刀を構えて腰を落とし、空気をうんと吸い込む。
 空気は脳に、肺に……やがて全身のすみずみに行き渡って、我に力をみなぎらせた。

 狙いは天空一点。我は黒刀を振り上げ、全てをぶつけた!

「あまねく邪雲共、散り去るがいい――
裂空の一閃(スカイズフィナーレ・ブレイド)“ ッッッ!!」





〜〜‡〜〜‡〜〜‡〜〜





「ここからは自由行動とします。指定された範囲内であればどこを回ってもいいですが、それ以外の場所には行かないでください。また、14時までにはバスに戻るように!」

 目的地に到着して停車したバス内。担任が全体に諸注意を促している。皆浮わついた心境にあるのか、真面目に聞いている者は殆どいない。

 現在は遠足中。ただし遠足が施行されたのは豪雨の後ではなく、予備日。
 ……要するにあの日、何も起こせなかったのである。技がまるで通じなかったのだ。空があんなにも強き存在だとは。我は退けることができると信じていた。

「湧丞、班の皆とバスの外で待ってるわよ!」
「う、うむ。すぐ赴く」

 まあ、幸いにもこうして予備日が快晴になってくれた。堕天使も楽しそうである。結果的には問題なしだ……ただし、我はある誓いを心に刻んだ。

「もう空とは当分闘わんッッッ!」

 我は出てきそうになった悔し涙を堪え、席を立つのだった。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ