堕天使と黒騎士、魔の地(校外)へ赴く??
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上がった。
「な、なんとか誤魔化せたわ……」
何かを堕天使がぼそりと言っていたが、はしゃいでしまっていた我はそれを聞き取るに至らなかった。
20分ほど経て、朝食と荷造りを終えた。今から学校に赴いてたところで集合には余裕がありすぎるが――堕天使が行こうと急かすので、早くも出発することになった。
……のだが――。
「嘘でしょ!?」
「悪天候、か。確か雨天の場合は……予備日に延期」
「朝に家を出たときはちゃんと晴れてたのに……」
家から外に一歩出てみると、あいにくの超豪雨。辺りの地面にはもう大きな水溜まりが何ヵ所もできており、独特の湿り気とニオイがひどく充満していた。おそらくは準備している間に降り出したのだろう。たまたま自室のカーテンは閉めきっていたし、なにより必死だったので気が付かなかった。
「……遠足は雨天中止、だな。このままだと通常授業、お前が持っている遠足の荷物とは別の用意が必要になる。不本意かもしれぬがお前はひとまず帰れ」
「そんなーっ!」
雨の勢いが衰える雰囲気は全くない。こうなっては仕方ないぞと我は堕天使に促すが、堕天使は切実な嘆きをあげていた。結構落ち込んでいるようだ。ただ、彼女の横顔には――絶望だけではなく、こうなるのをどこかわかっていた“諦め“の色があるように見えた。
……と、ここで一種の推察が生まれた。我は確かめるべく堕天使に問いかける。
「お前、さては薄幸か?」
すると堕天使はぎくっとしてこちらへ目線を合わせた。図星らしい。
「決戦した日、お前は何もないところで転んだよな。この間帰宅していた時もそうだ。犬のフンを踏んでしまったり……今日だって、いきなり最悪の天候がおとずれた」
「……まあね? ヨハネは天界の神に嫌われているから、不幸体質なのよ。これは昔っからそうだし、もう慣れっこ」
当てられたのには驚いたようだが、堕天使は澱みない口調でそう返した。
ところが次に堕天使は、
「でも――今日は晴れるかもって、ちょっぴり期待した。いつもいつも行事の日は雨ばっかりだったから、起きて窓から外を覗いたときは嬉しかったわ。ああ、今日は神様が微笑んだんだ、って思った」
弱々しくそう言って、空を見つめた。
――悲しげだった。しおらしい。今、彼女はいつもより堕天使っぽいマイナスな表情をしている。けれどもそのくせして……これは堕天使らしくなかった。
やっぱり、魔の地への堕天を楽しみにしていたんじゃないか。
「……わかった、我が手を打とう」
だから、なのか。 我はむず痒い気持ちを抑えきれず、気が付けばこんなことを口にしていた。
「手を……打つ?」
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