堕天使と黒騎士、失敗する
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すっかり取り残されてしまったわ」
大袈裟に天を仰ぎ悲劇的に振る舞い、挙げ句奇妙なポーズを取る堕天使。なるほど、彼女の堕天使としての器量は悪くないものだと我は認めていたのだが……駄目だったのか。民々は我らのような特殊因子に妬みでもあるのだろうか?
「けれど、美しすぎるって……ぷっ……それは違うだろう……」
「笑うなぁーっ! 湧丞だって一人のくせに!」
軽く小馬鹿にして笑うと堕天使の奴がムキになった。彼女をからかうのはなにかと面白い。ただ、班に入れていないから焦っている!とか勘違いされても困る。
我はおちょくるのを止め、脚に渾身の力を込める。今までもたれていた柵の上に跳躍して飛び乗り、
「一人、か。それは認めるが――我がちょいとアピールすれば、所詮班問題など塵同然なのだ!」
カッコよく解説してやった。すると堕天使は感心したように「おおっ」と歓声をもらした。
「イイ身のこなしっ!!」
「え、そっち?」
まあ、結果的に誤認は免れたのでよしとする。
――と、突如だった。扉をけやぶる音が轟いた。
「コラーッ! お前ら、屋上に許可なく入ってるんじゃないぞ!!」
「ひっ!?」
そして立て続けに怒鳴り声。我は何事かとそちらに注目する。堕天使は反応するなり呻き、盾にするように我の後ろに隠れた。
スポーツ刈りの頭、がっしりとした体格、動きやすそうな服装……不意に登場したのは体育教師だった。おそらく校則違反で我らを取り締まりにきたのだろう。
「これは指導が必要だな……!」
体育教師はポキポキと拳を鳴らし、おもむろに近付いてきた。その光景ははまるで悪党が襲ってくる絵面のようだった。
〜〜‡〜〜‡〜〜‡〜〜
「まったくもって間抜けだな、我もお前も」
「ふん!」
我と堕天使と、あとは精々自習で残っている者ぐらいしかいない物音少なき教室に、カリカリと筆の営みが響く。
職員室にて戒めを受した我らは教室に戻り反省文を書いていた。ノルマは400字詰めの原稿3枚分。あの体育教師め、許せぬ。
「あーもう! 忌々しいほどの量ね……まさに地獄より課せられし灼熱の試練ッッ!」
堕天使がほざき、筆を手放した。相当に苦痛らしい。わからんでもないがな。
「黙って筆を動かせ。このままでは苦行が終わらぬぞ?」
「……わかってるわよ」
渋々、といった様子で堕天使は机の真ん中にふちに放られたペンを握っ……
「堕天使奥義――」
「早 く や れ」
「つれないわねぇ」
いや、安堵すればこうだ。彼女は油断ならぬ。
この後も堕天使はちょくちょくと攻撃を仕掛けてきたり
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