堕天使と黒騎士は今日もほのぼのとする――と、思いきや?
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た。
「そう拗ねるな。不気味に笑っていた方が、堕天使としても輝くのではないか?」
「拗ねてないけど。あと『不気味』は余計よ」
慰め、効力なし。これはどうやら拗ねているとみてよさそうだ。
「なんだかお前には悪いことをしてしまったようだな」
「……どこ行ってた?」
「ん? ああ、図書室さ。赴く必要があったのだ、許せ堕天使」
「それならそうと言ってくれればよかったじゃない……」
「ハハハ……何処の馬の骨とも知れぬ奴に、こいつを先取りされては困るのでな」
口を尖らせる堕天使に、我は借り出してきた『神話武器大全』を見せつけた。表紙に載っているきらびやかな杖を目にして、彼女の目の色がさっと一瞬変わる。
「ふーん? そ、そんなもののために図書室に〜?」
だが堕天使はバレバレの意地を張って誤魔化した。相変わらず素直じゃない堕天使である。
「我はこれから弁当を食するから、なんだったらその間に読んでいてもよいのだぞ?」
「リ、リトルデーモンがどうしてもって言うなら……」
「ならば、どうしてもだ。頼んだぞ堕天使」
「えへへ……わかったわ!」
ここまでの曇りっぷりが嘘のように彼女の表情がぱあっと明るくなった。堕天使は嬉しげに我の提案に乗ると、我の手にある本を素早く取ったのだった。
「読みたかったのだな……」
我は彼女に聞こえぬ程度に我はからかいごとをこぼし、弁当箱の蓋に手をかけた。
我は彼女――津島善子のリトルデーモン。始業式の日にあった一件を経て、この関係に至ったのである。今はあれから半月過ぎたが……なんだかんだでうまくやっている。堕天使の扱いにも慣れてきたしな。当初苦労したことといえば、学校の中でことあるごとに堕天使がリトルデーモンと我を呼ぶので、民々に誤解を生むことぐらいだった。
――イレギュラーになった学校生活も、もうお手のものさ。
なんて思っていたせいか、油断していたのだ。
この日の6限目――ロングHRの時間に担任教師が宣言したことに、我は大きく取り乱すはめになった。
「もうすぐクラスの親睦を深めるための行事、遠足がありますね。『単独行動は禁止』ということでこの時間内で皆さんには班を作ってもらいます。最低でも四人以上でお願いしますね」
「よ、四人……?」
それは堕天使も、また然り――。
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