堕天使と黒騎士は契約した
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そんなことを促してくる。
「迎えに来いとは頼んでないぞ堕天使! だいたいなんだ『リトルデーモン』って。妙なあだ名を付けるんじゃない!」
「え……?」
我がやけくそになってそう言うと、彼女はきょとんとしてこちらを見つめ――やがて体をぷるぷると震わせはじめた。
「む。今我は悪いことを口にしてしまったか?」
「よ……」
「よ?」
「湧丞のバカぁーーっ! これでもくらえっ!」
「おぶあっ!?!?」
顔面に圧迫の砲弾が直撃した。堕天使がベッド上にあった枕を取り、それをこちらめがけて投げつけたのだ。本体の柔らかさ故に痛みはなかったが、インパクトある振動が当たったそこに数瞬伝った。
「えええええ!? 理不尽すぎるんだけど!?」
我はすぐさま堕天使に訴えかける。ダメージは皆無であったが、我の素を引き出させるには十分な威力の出来事であった。
「忘れたの!? 昨日契約したばっかりなのにー!」
「契約?! どういうことだ!」
訊いてもむくれてじたばたする堕天使。
「…………あっ」
が、ふっと思い出して。
「確かに契約したな、堕天使よ……」
我は他人事のように呟いた。
〜〜‡〜〜‡〜〜‡〜〜
あれは昨日――決闘が一区切りついてからのこと。
本来ならあのまま別れるつもりであったが、我と津島善子はどこまでも延々と続いてすらみえる防波堤沿いの道を歩いていた。なんと家の方向が同じで、しかもかなりのご近所だというのが判明したためだ。
「――津島善子」
「なに?」
なんとなく呼びかけると、津島善子は疲れた様子で答えた。先程まで繰り広げていた決闘がたたっているのだろう。
……いや、おそらくは決闘後に意地の張り合いをしすぎたせいだが。我にも変な疲労がたまっている。
「……呼んでみただけだ」
「用がないなら話しかけないでよね。ヨハネは魔力の供給で忙しいんだから……」
我の中身なき返しに、ふうっと溜め息をつく津島善子。だが彼女はいきなりハッとして顔を上げると、あたふたして訊いてきた。
「さっきの勝負って、どっちの勝ちになるの!?」
「あー……そういえばその点が曖昧であったな」
我は顎に手をあて少々思案し、結論を出す。
「我の負けだな」
「なんでよ?」
あっさりと我が敗北宣言したことが気にかかったのか、津島善子は怪訝そうな目をこちらに向けた。
「考えてみれば、我は敵とはいえ女に武器を振り回したのだ、それは“黒騎士なりの騎士道“に大きく反する。仮に勝ったとて意味などなかろう」
「ふーん、案外ちゃんとしたポリシー持ってるのね」
「まあな。ということでお前の勝ち
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