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堕天少女と中二病少年
堕天使と黒騎士は邂逅する
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「天界より舞い降りし堕天使! ヨハネ……降臨っ!!」

 教壇に立った少女が突如叫び、空気はたちまち沈黙で凍り付いた。大半の男女クラスメート達が驚き、あるいは目を点にして彼女の方へ向く。

 ――なんだこの子は、と思いながら。

 呆然とする彼らをお構い無しに、独特のポーズを決めたまま少女は続ける。

「私と一緒に、堕天しない?」

 今度は微かに室内がざわめいた。隣の席同士でひそひそと話す女子や笑い声をあげそうになるのを堪える男子が主な原因である。HRホームルームをしにちょうど扉を開け教室に入ってきた若手の女性教師ですら、この状況には顔を引きつらせた。

「つ、津島さん?」
「違う――私はヨハネ」
「……」

 教師は気を取り直して声をかけるも、なお堂々とした様子の少女に面食らい押し黙った。



 内浦付近に位置する、とある中学校。ここはその中の――本日始業式を通して正式に二年生となったばかりの生徒らが集う一教室。

 その中にこの少女……堕天使(異端児)がいた。

「……ククッ」

 と、静寂を打ち破る声がした。少女のではない。教室内にいる他の誰かのものだった。

「ククッ、ハハハハッ! 面白き使徒が現れたものだなァ……!」

 初めは聞き間違いだと一同は錯覚した。だが彼らが聴こえた方向に視線を向けると……それは現実であった。

 一人の少年が口角を上げて、ほくそ笑んでいたのだ。




 そう。異端児は彼女一人だけではなかったのである――――。



〜〜‡〜〜‡〜〜‡〜〜



 窓から差し込んでくる暖かなる日光(エナジー)。可憐に舞ってやまない桜吹雪(ミラージュ)。少々離れた海を抜け出してここへやって来た僅かな潮風(ブルーウィンド)とその香り。クラスメート共(民々)が和やかに談話しているこの教室……。

 素晴らしき空間よ。我を映えさせるに最適だ。

「しかしだな、満足に至ることのできぬ理由がある――それがわかるか?」
「……」
「ハァ、やはりわからないか」
「……え? ちょっと待って、あなた誰に話しかけてるの?」
「いやお前にだよ津島善子!!」

 引いたように見てくるこの女に我は思わず突っ込んだ。

「む……善子言うなーっ!!」

 そして口を開けば彼女は騒がしい。あとポカポカとこちらを叩いてきているが全く痛くない。ところで、理由とは……彼女にある!

 何故だかは解せない。先刻彼女が名乗り、ホームルームが終焉してからだったろうか――我の机前まで歩いてきたと思ったら、何かを言いたげにずっとこちらを睨むのだ。これではさすがに落ち着けまい……。

「すまない。もしかして名前を間違えたか?」
「あ、合ってるけど
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