S-6 黄金/純白
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ディルムッドからは分からないだろうが、アルトリアこ表情はとても穏やかで微笑んでいた。
それはディルムッドも同じで、心から楽しそうに、微笑んでいた。
「我が騎士の誇り、我が全力、純白の光と成りて────」
純白の長剣が引き抜かれ、光を集束させる。
「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流────」
黄金の聖剣が振りかぶられ、光を集束させる。
「『大いなる激情』!!」
「『約束された勝利の剣』!!」
純白の光が、一直線に延び、直進していく。
黄金の光が、一直線に延び、直進していく。
真名を開放された二柱の光が中心で交わり、拮抗する。
本来の力ではディルムッドの《大いなる激情》がアルトリアの《約束された勝利の剣》には劣る。それは一度見たディルムッド自身が最も思考理解していた。だから、少しだけ宝具の撃ち方を変えた。
本来は居合のように一文字の軌跡を残して純白の斬撃を放つ宝具だが、それではただでさえ純粋な出力で劣っている宝具が更に拡散されて負けてしまう。そう直感したディルムッドは斬り上げと言う行動に出た。それにより光は拡散されず、聖剣の黄金の光に拮抗できるまで持ち込むことができた。
両者の光はどちらも劣らず、中央で拮抗したまま────消え去った。決着はいまだに着かず、両者は剣を地面に突き刺した。
「流石……かの高名な聖剣……我が全身全霊の一撃でも勝てないとは……」
「貴方こそ……私の聖剣が勝利をもたらさないとは……」
お互いを讃え合い、また戦闘が再開されると思われたその瞬間。
「令呪を以て我がサーヴァントに命ずる!!」
一人の声。今、この場でその行動が出来るのは一人だけしか存在しない。
「もう一度!もう一度宝具を放て!!その忌々しいセイバーを聖剣で吹き飛ばせ!!ついでに……ソイツのマスターもなぁ!!」
最高クラスの魔術に位置する令呪がアルトリアの身体はその命令を受け、無理矢理動かされる。
油断していた……と、アルトリアはその時自分の失敗に気が付く。自身には高ランクの対魔力があるから一度の令呪程度ではどんな命令でも逆らえる。そう思っていたが、この状況ではそれが出来ない。宝具を使った直後、いくらこの聖杯戦争で魔力が補償されると言っても直後なら意識も、対魔力の効力も一瞬だけ弱まってしまう。
アルトリアはまた聖剣を構え、ディルムッドの方へ放とうとする。しかし、弱まっても対魔力が働き、少しの猶予が出来た。
「ディルムッド……この、隙に……」
アルトリアがそう伝えるが、ディルムッドは決心したかのようにマスターの前まで移動する。
「騎士王よ、敵前での逃亡は騎士の誇りを貶す…
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ