S-6 黄金/純白
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
黄金が輝く。
純白が煌めく。
紅蓮が迸る。
手数では圧倒的にディルムッドが上回っているが元々のポテンシャルとスキルを併用したアルトリアは防戦気味だがダメージを一切負わずに避け、弾いている。
ディルムッドは何度も武器を代えていくがアルトリアは武器の効果を覚え、それを的確に避けていく。既に与えられた傷は役割だけは忘れて居なかったゲーダーが治癒させ、ある程度は回復させたが、それでも万全ではなかった。
紅の長槍ならば剣で弾くか避ける。自身の魔力で編んだ鎧では不利などでは済まない。
黄色の短槍ならば肉体では絶対に受けないように細心の注意を払う。記憶が告げている、ソレで怪我を負ってしまってはいけないと。
純白の長剣ならば回避しか方法がない。剣をすり抜け、鎧さえも砕く。物理的手段では敵わないと理解して寸での所で避ける。
柄の青い小剣ならば攻撃で特に警戒すべき所はない……はずなのだが時折見せるその時点で最速を誇る一撃。前述の何れにも敵わないが効果が殆ど分からない。それ故に最も微妙な位置にその小剣は居る。
「ハァッ!」
アルトリアが再度不可視と成った黄金の聖剣を振るう。ディルムッドはそれを紅槍でいなし、小剣による高速斬撃を振るう。しかしその刃はアルトリアには届かず、ディルムッドに次撃が迫る。
「………………!」
無言の気迫。アルトリアの周囲に漂う魔力が高ぶり、その出力を一気に上昇させる。更に持っていけと言わんばかりに黄金の聖剣がその姿を再度見せ、暴風によって加速された聖剣が真横に振るわれた。
その時点でディルムッドの手には黄色の短槍と青柄の小剣が握られていた。生前にもこんなことがあったと、その光景が脳裏に過り────彼は瞬時に純白の長剣のみを具現化させていた。無理な体勢で聖剣を防ごうとするがこの戦闘においてのアルトリア最速の一撃はそんなもので防げる程、柔ではなかった。
「ぐっ……!?」
小さく唸り声を上げたディルムッドは数メートル吹き飛ばされ、一度地面に打ち付けられた後、跳躍し体勢を立て直した。
ディルムッドはそのまま止まり、動かない。純白の長剣を地面に刺し、悠然と立っている。
「騎士王よ、やはりお前は素晴らしい。俺はこうしてまたお前と戦えてよかった。……だが、俺にはまだすべき事が残っている。そろそろ決着をつけさせて貰おう」
地面に刺された純白の長剣が発光し始める。魔力が高ぶり、ディルムッドが持つ最大の攻撃を今、放とうとしている。
アルトリアは静かに剣を構える。風によるプロテクトが無くなった今、その黄金の輝きを隠すものは何もなく、その輝きをより一層強くしていく。
「分かりました。このままでは拮抗状態が続くだけ……私も全力で貴方を迎え撃ちましょう」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ