一章 小さき魔物 - 海竜と共生する都市イストポート -
第13話 蘇生
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何がどうなっているのかわからず、ティアはそう聞き返した。
昨日、シーサーペントは確実に死亡していたはずで、その目でしっかりと確認していた。
「どういう……ことですか……?」
「わっ! 起きたんだ? シドウ」
後ろからの声にティアが振り向くと、いつの間にか起きていたシドウが、ベッドで半身を起こしていた。
「間違いなく、昨日倒したはずです。違う個体が現れたのではないですか?」
「いえ、それがどうも……シドウさんの倒したシーサーペントの……死体が動いているような感じだそうで」
「……。そう、ですか……」
「え? 死体が動く? ど、どういうことなのよっ」
シドウがやや斜め下を向いたまま、小さな声で何かをブツブツ呟いた。
ティアにはよく聞こえなかった。
そしてシドウはベッドから降り、
「わかりました」
と表情がない顔で答え、やや足をもつれさせながら、手ぶらで入口を出て行った。
ティアは、慌ててシドウの道具袋を手に取り、追いかけた。
* * *
昨日の現場には、シーサーペントはいなかった。
そこには、瓦礫の山と、自警団の人間がほんの数名いるだけだった。
自警団の人間たちはシドウを見ると、まだ人間姿であるにもかかわらず、ビクンとなって固まった。
しかしすぐに、そのうちの一人が、
「こ、この先に」
と声を絞り出し、上流側を指差す。
シドウとティアは、川岸を走った。
一般人にはすれ違わなかった。昨日の件があったので、早めに避難は終わっていたのだろう。
「このあたりは……」
「問題の工場があったところよね」
昨日の現場よりも上流側。船着き場は少なく、商業施設や工業施設があったエリアだ。
汚染源だった工場もあった……はずだったが。シドウとティアが到着したときにはすでに存在しておらず、あたりには水浸しの瓦礫だけが広がっていた。
周囲には冒険者や自警団がまた取り囲んでおり、クロスボウによる無数の矢と火魔法が放たれていた。
そしてその先には……シーサーペントがいる。
姿勢は昨日と変わらない。そして周囲に水の槍が四本立っている。
だが、焼けただれた、上半身。
喉元には、露出した骨。
「シドウ、これって……」
「うん」
これは明らかに、昨日倒したシーサーペントの死体だ。
それがこうやってアンデッド化している。
「……」
これはつまり、誰かが、魔法でアンデッド化したということになる。
このような強大な生物をアンデッド化。生半可な術では不可能なはずだ。
シドウ以外にシーサーペントと交信していたという人物と、死体をアンデッド化した人物が同じかどうか
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