【ネジおじさん家にお泊まり】
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「おじさ〜ん、ネジおじさんいる〜?」
まだ少し寒さの残る午後の晴れの日、ヒマワリはおじさんの家の玄関前で大きく声を掛け、ネジがいそいそと奥から出て来る。
「ん…? ヒマワリ、どうしたんだ」
「お兄ちゃん最近新しいゲーム機でお友達とゲームばっかりして、わたしに構ってくれないんだもん……。つまんないからおじさんちに1人で来たのっ」
「お母さんに……ヒナタにはちゃんと言って来たのか?」
「おじさんの家まで一緒に行こうかって言われたけど、もう1人で行けるよって言ってきた。ほら、ちゃんと1人で来れたでしょっ?」
「あぁ、そうだな……偉いぞ」
「えへへ〜」
ネジは目を細めてヒマワリの頭を片手で優しくぽんぽんして、家の中に招き入れた。
「ネジおじさん、最近ウチに来てくれないよね…?」
「いや、まぁ……今日はたまたま家に居たが、おじさんも色々忙しくてな。とりあえず今手は空いているから、ヒマワリの相手はしてあげられるよ」
「そっかぁ、よかったぁ…! あっ、そうだ! ──ネジおじさんのお父さま、お母さま、おじゃましてますっ」
ヒマワリは居間の隅の仏壇の前で手を合わせた。ネジの家に来た時は、いつもそうしている。
ネジはまだ、自分の父についてボルトとヒマワリには詳細には語っていない。
母については、元々病弱で、父が亡くなってから後を追うように亡くなってしまった事は、おおよそ伝えてある。
ネジにとっては父との思い出の方が多く、母に関しては床に伏せていたのがほとんどで、なかなか話せる状態に無かった。
しかし、比較的体調の良い時は少ない時間でも母は甘えさせてくれた記憶がある。
──儚く、美しい母だったとネジは想う。
病弱と知りつつも父は母と愛し合い結ばれて子を授かり、母はネジを産んだ後病状が悪化したらしかった。
自分を命懸けで産んでくれた母……
いくら父自身が決めた事とはいえ、あのような亡くなり方をされ、母はやはり胸を痛めたのだろう。
父が亡くなって程なく、母も亡くなった。
母まで早く失わなければ、自分はもう少し、憎しみを和らげていられただろうかと、ネジはふと思う事がある。
今となっては、二人の存在があってこそ今の自分がある事に感謝し、日々を大切に生きる事にしている。
「…ネジおじさん! ぼーっとして、どうしたのっ?」
「ん、あぁ……何でもないよ、ヒマワリ。それで、ヒマワリは何をしたいんだ?」
「んっとね、おじさんとお菓子作りたい! あとね、漢字のお勉強教えてほしいのっ」
「お安い御用だ。…では早速、取り掛かるとしよう」
ネジはヒマワリに笑顔で応じ、まずは一緒にチョコクッキーを
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