暁 〜小説投稿サイト〜
詩集「棘」
綻びた陽溜まりに

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振り返っても何もない
そこにあるのは憐れむような
自分の影があるばかり…

春を待つ桜の梢
光りに囀ずる小鳥達
希望は胸を軋ませてなお…

色褪せた思い出のような
綻びた陽溜まりに
哀しさだけが降り注ぐ…
愛しい君がここにはいない
そよぐ風は…心惑わし…


夕陽の落ちた黄昏は
淋しさに似て世界は歪み
藍の夜空は翳みゆき…

暮れゆく冬の蒼穹
消え去るモノクロの風景
届かぬ想いは涙に変わり…

まるで心見透かすような
綻びた陽溜まりに
叶わぬ夢が煌めいて…
腕を伸ばせば刹那に弾け
胸をチクリと痛ませた…


永久なんてない…
だからこそ生きられる…
もし…時が終わらなければ
きっとこのまま…狂ってしまう…

懐かしさ連れてくるような
綻びた陽溜まりは
過去と未来を繋ぎ止め
ひとときの幻垣間見せ
影さえ眠りに誘って…

色褪せた思い出のような
綻びた陽溜まりに
哀しさだけが降り注ぐ…
愛しい君はどこにもいない
そよぐ風は…心惑わし…




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