27部分:南へその三
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南へその三
「ん?何だ?」
男は二人の側で立ち止まった。
「ちょっと聞きたいのだが」
「俺達に?」
「うむ、解放軍は・・・」
その時観客席で戦場の軍馬の嘶きの様な声が起こった。
「待ちなさい、レスター!」
「遂に見つけたわよ!」
ラクチェとラドネイが抜き身の剣を振り回しながらレスター達を追いかける。追う方には二人の他にジャンヌ、闘技場で一緒になったマリータ、何時の間にか付き合わされているラナとマナである。
追われているのは二人のアーチナイトと不幸にしてその場に居合わせたタニアとロナンの計四名である。
「どうして僕達まで!?」
振り返る。そこには目を怒らせ鬼女の如き形相で追い掛けて来るラクチェとラドネイがいた。
「済まない!」
レスターが謝罪する。
「とにかく逃げましょう!」
タニアが駆ける。
壁にぶつかった。四人が顔を蒼白にし後ろを向いた時殺意の気を全身に纏い剣を握る鬼女達がいた。
「ふっふっふ、やっと追い詰めたわよ、レスター」
ゆっくりと剣を振り被りながらラクチェ獲物を捕らえた虎の様な目でレスターを睨んだ。
「ま、待てラクチェ、ここは話し合おう」
「そ、そうそう、まあ穏便に」
蒼くなった顔を引き攣らせながらレスターとディムナは必死に二人を宥めようとする。成り行き上当然と言えば当然であるが無駄だった。
「ええ、あんたを成敗してからゆっくりと聞いてあげるわ」
「さあ、せめて苦しまないようにしてあげるからね」
「あ、あわわ・・・・・・」
その時二人の男が現われた。
「おいおい、どうしたんだ皆」
「剣なんか振り回して尋常じゃないな」
「兄さん達!?」
スカサハとロドルバンである。二人はゆっくりと双方の間へ近付いて来る。
「おお、二人共いい所に。実は・・・・・・」
ディムナが大急ぎで事情を話した。それを黙って聞いていたロドルバンは言った。
「うん、それはレスター達が悪い」
そしてニヤッと笑った。
「ええっ!?」
「二人共思う存分やっちゃいなさい」
「よし来た!」
「お、おいロドルバン・・・」
オロオロするスカサハだが彼はそれに対し軽く微笑んで言った。
「まあ見てなって」
二本の剣がそれぞれ振り下ろされる。それを別の二本の剣が受け止めた。
「何っ!?」
剣の主はデルムッドとトリスタンであった。
「いくら何でも弓に剣ってのは無いだろ」
「ここは俺達に免じて退いてくれ」
「誰が!」
「どきなさいよ!」
全く聞き入れず二人は今度はデルムッド達に斬りかかった。
「やっぱりな」
「じゃあ相手になるぜ」
四人が剣を交える。それを後ろのマリータとジャンヌ、スカサハが止めに入る。ロドルバンは面白そうにそれを見ている。
「ちょちょっと止め
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