second contact
ep.039 demerit burst
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のない動きだったものがしっかりと止められる。
「お前の相手は俺がやるって言ったろ。 そんなに余所見されると淋しくなっちまうだろうが。」
互いの力が拮抗しているからか、どちらも押し負けず押し勝てない。
しかし、仁はこのタイミングだと判断し、太刀の間合いから少し離れた距離を真っ直ぐ、自身の出せる最高の速度で駆け抜けていく。
だが庵鬼の目はモノアイのようにギロリと動いて仁を完全にロックすると、競り合う状態を上手く離し、仁の数倍の速度で追い掛ける。
あっという間に仁との距離が1mほどに迫り、太刀を振りかぶり、横に両断しようと振るった。
「だからっよ!!」
悠持は少しのモーションから槍を投擲し、投げられた槍は地面に勢い良く突き立つ。
それは横に振られた太刀の刀身を見事に受け止める。
庵鬼は鬼の形相でその刀身を見つめた。
その後庵鬼の表情は静かになり、ぐるりと悠持の方を向いた。
仁はその隙に次の部屋へと突き進んで行った。
「そんなに余所見されると淋しいだろうが。」
悠持は作戦が成功したからかその表情は少しばかり笑っているように見えた。
庵鬼はすぅーっと息を吸って吐くと、地に突き立った悠持の得物を引き抜き、緩やかな曲線を描くように悠持に放り投げる。
悠持はそれを片手で受け取り、刃を地に向けるように慣れた手つきで持ち変えた。
「まさか得物を返してくれるなんてな。」
悠持が不思議そうに話す。
庵鬼からすれば生身と武器持ちでは戦闘力に差が出てしまい、それで勝負が決まっては非常に面白くないと思っているからだ。
「当たり前だ。 両者が等しい条件の元で戦わなければ勝負としての意味がないだろう。」
悠持も先程の庵鬼の仁に対する行為は、殺そうとしたのではなく、今から戦闘が行われるフィールドから邪魔者を退けようとした行為だとすぐに察知していた。
つまり、庵鬼は最初から仁を自分の獲物として見ていなかったということだ。
「外野を退けるのに時間が掛かって悪かったな。」
庵鬼は一応、悠持に謝罪する。
悠持としてもそれはもう考えなくても良いことだった。
ただ『目の前の強者を負かすこと』これが二人が今考えるべきことだ。
両者が戦闘態勢に入り、同時に地を蹴る。
等速に近い二人は再び競り合いになる。
相殺し合う箇所が擦れ合う度に火花が散る。
両者とも口を開こうとしない。
戦闘中に余計なことを考えるのは相手に失礼だ。
それ故に静かな空間からはそれとは反対に熱線とも言うべき相殺音が響く。
悠持は庵鬼の太刀を捌きながら、僅かに見え隠れする隙を狙おうとする。
一方の庵鬼は悠持に太刀を捌かせながら、わざと隙を見せ、悠持が狙ってくるタイミングで斬るつもりだ。
『コイツ...
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