ファンディスク:神話と勇者と断章と
ピース・オブ・レイ
ディザイアネス・グレゴリオ
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結集し、セモンとコハクは結ばれ、SAOはクリアされ――
――歌姫が死んでから、二年と七ヶ月が経過した。
***
「〜♪ 〜〜♪」
機嫌が良さそうに鼻歌を歌う親友の姿に、清文は少し意外な物を感じた。
「あ、YUNAの歌じゃないの」
「YUNA? YUNAってあの、ARアイドルの?」
「そうその。凄い人気よね」
へぇー、と、手を繋いで隣を歩く恋人の言葉に相槌を打つ。
「最近、お兄様は彼女の歌に嵌り気味でして……家でもいつも流しています」
そのARアイドルの歌を口遊む親友――陰斗のすぐ後ろを歩く銀髪の少女――彼の妹の刹那が、こちらを振り向いて苦笑した。
これには意外だ、という思いが清文の中で大きい。
陰斗は、大の電子音声歌手嫌いとして有名だ。音楽を再生するデジタル歌手のソフトが大流行して街中でいつでも流れていた時など、耳栓をして歩いていた位である。
そんな彼がARアイドルの歌を好むなどと、一体どんな心境の変化なのか。
「どうした陰斗。お前、こういうの嫌いなんじゃなかったのか? 流行ものだろ」
笑里の車いすを押す秋也が、意外そうに問う。それもそうだ。清文も気になる。
何せ、陰斗にはマイナー厨という側面がある。SAOこそやりたがったものの、元々はナーヴギアの中でも最も人気のないソフトを非常に気に入っていたはずだ。なんだったか、なんとかいう異様につまらない教育ゲームだった気がするのだが。いやまさか歴代ローマ皇帝の名前全部知らないと出来ない問題が出てくるとは思わなかったとかケタケタ笑っていた様な。
それはそれとして。いや、だからこそ。少々、以外で。
んー? と、左耳にかけられたAR端末――《オーグマー》をいじりながら、シャノンはこちらを向くと、にたり、と笑って答えた。
「いいんだよ、これは。聖歌だからね」
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