第三十四話 三つの薔薇その八
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「それぞれの国に旧教徒から見れば」
「まだ彼等は力がありますね」
「王国の息がかかっている旧教徒達は」
「教皇庁もありますし」
「ですから」
「そうです、王国や教皇庁の息がかかっている彼等がです」
エヴァンズ家と対立している彼等はというのだ。
「二人の命を狙っている可能性があります」
「だからこそですね」
「お二方については」
「護衛が必要ですね」
「刺客を避ける為に」
「二人はそうしているでしょうか」
セーラ、そしてマリアはというのだ。
「果たして」
「お二方なら大丈夫でしょう」
「そうしたことの用心も忘れません」
「そのことはマリー様と同じです」
「用心も必要だとわかっておられます」
「そうですね、ですが私からもです」
マリーは即座に決断を下した、熟考しどちらかというと決断が遅い傾向にある彼女であるがそれでもである。
「護衛を送りましょう」
「今からですね」
「そうされますか」
「護衛の兵士達をですね」
「お二方のところまで」
「優れた騎兵を護衛に相応しい数だけ」
マリーは即座に言った。
「お送りしましょう」
「はい、それでは」
「これよりですね」
「そうしましょう」
「お二方のところに」
側近達もマリーに応えた、そしてすぐに護衛の兵士達が送られることとなった。マリーにとっては用心に用心を重ねなくてはならないことだから。
それでだ、そうしてだった。騎兵達を送った次の日に報告が入って来た。それは護衛に送った兵士達のうちのそれぞれ一人ずつだった。セーラ、そしてマリアに対して。
彼等は口々にだ、こう言った。
「セーラ様はご無事です」
「マリア様もです」
「お二方共馬で来られています」
「馬車ではなくです」
「出来る限り速く来られたいと思い」
「そのうえで」
「そうですか、馬車ではないですか」
このことを聞いてだ、マリーは微笑んで言った。
「馬に乗ってですか」
「セーラ様は来られています」
「マリア様もです」
「順調にです」
「来られています」
「馬車よりも馬に乗って来る方が速いです」
その方が馬にかかる負担が小さいからだ、馬車を挽くよりも馬に乗る方がだ。
それでだ、マリーもこう言ったのだ。
「二人もわかっていますね」
「はい、実に」
「流石はセーラ様とマリア様です」
「よくおわかりです」
「この状況を」
ロドネイ公、大司教、デューダー卿、キャスリング卿も話す。
「では護衛も」
「そうした者達も既にでしょうか」
「連れているのでしょうか」
「やはり」
「はい、そうでした」
「多くの護衛の兵士達がいました」
兵士達は彼等にも話した。
「既に」
「そうされています」
「それは何よりです」
マリーも笑顔で
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