第百二話 長崎に来てその十四
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ハウステンボスだ、畑中さんもその街を観て言った。
「着きました」
「いよいよですね」
「はい、街に入ってです」
「慰安旅行の本格的なはじまりですね」
「楽しみましょう」
「長崎を」
「まずは電車を降りて」
そしてだった。
「それからです」
「ハウステンボスに入りましょう」
「ホテルまで案内致します」
この口調が執事さんだった、思えば畑中さんのこうした言葉にどれだけ助けてもらってきたことか。これまで。
「皆様も」
「八条荘のですね」
「はい、皆様も」
「じゃあお願いします」
僕も応えてだ、そしてだった。
皆荷物を持って電車から出た、プラットホームからも街が見える。むしろ電車の窓の外からよりもはっきりとしていた。
その街を観てだ、エルザさんがこんなことを言った。
「日本よね」
「その筈ですが」
ジョーンさんも言う。
「日本の街並みではないので」
「凄い不思議な感じね」
「そうですね」
「けれど欧州でもない」
「はい、明らかに」
ジョーンさんは自分の隣にいるエルザさんに答える。
「欧州にしましては」
「何かが違うわ」
「明らかに日本が入っています」
「けれど日本じゃない」
「そんな感じもしまして」
「本当に不思議」
またこう言ったエルザさんだった。
「日本にはこうした場所もあるのね」
「ここは」
長崎生まれの裕子さんが応えた。
「そうした街なので」
「欧州を再現した」
「オランダを」
「それは聞いたけれど」
「オランダであっても」
「オランダでなくて」
そしてとだ、また話したエルザさんだった。
「日本でもなくて」
「ハウステンボスですね」
「そう言うしかない」
まさにという言葉だった。
「私には」
「そうですか」
「とても奇麗」
「それは何よりです」
「確か裕子は」
「はい、長崎に生まれて」
ハウステンボスのあるこの県にというのだ。
「そしてです」
「ずっとここにいたのね」
「八条学園に入るまでは」
「だから思い入れがあるの」
「このハウステンボスにも」
そうだというのだ。
「生まれは長崎市ですが」
「育ちも」
「ですが」
佐世保市にあるハウステンボスに対してもというのだ。
「思い入れはあります」
「そうなのね」
「ただ、ここのホテルに入ることは」
「なかったの」
「そうでした」
こうエリザさんに答えた。
「日帰りで普通に行けたので」
「それはいいわね」
「そうですね、ただホテルに泊まることもです」
そのこともというのだ。
「素晴らしいですね」
「じゃあ今から」
「ホテルに入りましょう」
「そういえば私も」
エリザさんは裕子さんと話したうえでだ、顔を正面に向けて言
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