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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第82話:郷愁味、母の手料理、懐かしむ?
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「そ、そうだね……僕には久しぶりの母さんの手料理だし、皆さんも召し上がって下さい。とても美味しいですから」
本来なら上座に座る国王陛下の一言があってから開始する晩餐会なのでしょうが、いつまでも始める気が無さそうなので王太子殿下の一言で始めることになった。

「アア、トッテモ、オイシイデスヨ、オカアサン」
気まずい雰囲気が蔓延してる中での食事であり、流石のティミーも味なんか分かる訳も無く発言が棒読み状態だ。兎も角、雰囲気だけでも変えようという心遣いは伝わってくる。

「この悪い雰囲気で味なんか分かるモノか! 嘘吐いてんじゃねーぞティミー」
その雰囲気を悪くした人間が偉そうに言う事ではないでしょう、リュカさん!
何かないのですか……リカバリーの方法は!?

「雰囲気は関係ないのよお父さん……お兄ちゃんがビアンカさんの料理を美味しく感じてない理由は(笑)」
そうか、この娘が居た! 場にそぐわぬ発言をしても、その可愛らしさで周囲の男共を騙くらかす魔性の女リュリュが居たわ!

「ちょっと、如何いうことティミー? 私の料理は美味しくないの?」
「い、いえ……美味しいですよ本当に。ですが我々外遊に行ってた者達は、道中にラングストンの手料理をご馳走になったのです。それが余りにも美味しくて……」
あら? スラスラ淀みなくコメントしてるから嘘を吐いてる訳じゃ無さそうね。

「何よぅ……母の手料理より、男の大雑把料理の方が好みなワケ?」
「いやビアンカ。アイツは幼い頃、懐かしむべき母の手料理を味合わないで成長した。つまり懐かしい味というのがサンチョの手料理になる。言わば男汁の混じった食い物が好きなんだよ」

「嫌な言い方するな! 本当にラングストンの料理は美味しかったんですよ。僕にとっての懐かしい味である、サンチョの料理より……」
そうなんだ……あの男は、他人の神経を逆撫でする事以外も出来たんだ。

「何だラング……お前は他人を小馬鹿にする以外に誇れる才能があったのか?」
「そうなんですよ陛下。他人を小馬鹿にする才能は、如何足掻いても陛下に及ばないので、他の分野で才能を伸ばし始めたんです。なので料理に目覚めたのは、私がこの国に来る少し前からです」

流石というか何というか……
簡単な受け答えの中にでも、相手をディスる言葉を織り交ぜてくる。
ある意味天才なのかしらね?

「グランバニアに来る少し前って事は、5年くらい前って事ですよね隊長?」
リュリュが疑問に思ったことを素直に問うてきた。
これで多少は雰囲気改善を行えるかもしれないわ。

「あれは私が別の国に仕えていた時の事です。その国の王で、その頃の私の主より『大切なゲストを城下に迎えに行け』と命令がありまして、私はとある大物を迎えに城下へと赴いたのです」

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