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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
262部分:炎の剣その三
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止まった。時がその刻みを止めたかの様であった。
 セリスは根本まで突き刺さった剣をゆっくりと引き抜いた。剣身を包んでいた白い炎は徐々に消えていき完全に消え去った。
 暗黒神から飛び降りる。着地し今しがた渾身の一撃を加えた敵を見る。
 竜の頭を白い炎が包んだ。その炎はすぐに首や胸、翼、やがては全身を包み込んだ。
 暗黒神は白い炎の中に消えていった。炎がその最後の一片を消した時竜もまたその姿を消していた。
「やった、か」
 レヴィンは思わず会心の笑みを漏らした。諸将が一斉にセリスに駆け寄る。
 セリスはその輪の中にいた。皆喜びを分かち合っている。中には涙を流している者もある。辛く長い戦いが今ようやく終わったのだ。
 城の内外からも勝利と戦いの終わりを喜ぶ声が木霊する。ユグドラルを覆っていた闇の帳が振り払われ光が取り戻されたのだ。
「夜明けか」
 気が付けば月が姿を消し暁が姿を現わそうとしていた。その中ユリウスは一人輪の中に入らず階段を降りようとしていた。
「一人で行くのか」
 誰も気付かなかったがレヴィンだけが気がついていた。他の者に知られることなく呼び止める。
 ユリウスは黙って頷いた。だがレヴィンは言った。
「一人で行くより二人で行った方が良いだろう」
 この言葉に流石のユリウスも驚いた。しかしレヴィンはまた言った。
「それが御前の歩むべき道なのだ。今までの罪を償うのならばその方が良かろう。どうだ?それを選ぶのも選ばないのも御前の自由だが」
「・・・・・・・・・」
 ユリウスはしばし沈黙し考え込んだがやがて頷いた。レヴィンはそれを見て微笑んだ。
 勝利を祝う声が木霊する。それは新たな時代の到来を告げる声でもあった。

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