董卓の誤謬 〜小さいおじさんシリーズ17
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かしておりませんよ」
ぐぬぬ…みたいな顔をして、2人は黙り込んだ。
「孫堅軍も董卓討伐には随分と深く関わってるようで…道々、色々やらかしたでしょ?」
「なっ何を…由緒正しい孫家の軍が略奪行為など…」
「おやおや…貴方の身目麗しき奥方の仕入先は喬家の…おやおや?」
「ぐぬぬっ…」
今日の白頭巾は攻めるなぁ。いつにもまして攻め込みまくるなぁ。
「董卓サイドの歴史書を編纂していた蔡?は、あの狭量な王允に殺され世に出る前に封殺…殺しても飽き足りぬ暴挙…」
「ああ……」
端正が小さく呟き、遠くを見るような目をした。
「そうか。卿は」
屠られた蔡?の書を、惜しむのだな。端正はそう続けて黙り込んだ。白頭巾の返事はなく、ただ不機嫌な目つきで羽扇の裏側を睨み付けるようにして俯いていた。
「王允はなぁ…あれはもうな…アスペだ、アスペ」
豪勢がとうとうネットスラングみたいなものまで使いこなし始めた。こいつはもう三国時代に未練など微塵もなさそうだ。
「功労者に恩賞も出さない、投降した者も処刑する、蔡?のような才をもつ者ですら他の凡将と一緒くたにして処刑する。そもそもこんなアスペが動乱の戦国時代に迷い込んだこと自体、自殺行為ってもんでな。純粋な一武将としての好き嫌いなら、董卓のほうがよっぽど面白い男で」
「……王允の悪口かい?」
豪勢と端正が死ぬほどビビった顔で振り向いた。
もういつものパターンだが、襖の陰に何者かが佇んでいる。…なんだこの襖は。噂話してると本人が召喚される仕組みにでもなってんのか。
「貴様っ…!!」
「ほう…俺の暗殺に失敗して逃走した、いつぞやの若造ではないか。くっくっく…」
「……董卓!!」
「……イケメンじゃねぇか!!!」
俺は思わず叫んでしまった。端正が俺を刺し殺さんばかりに睨み付けてくるが知った事か。線の細い端正とはベクトルが異なるが、ちょっとその辺に居ないタイプのエグザイル的ナイスガイだ。美董卓だ。あいつらなに巨デブとかひげもじゃとか書き残してんの!?この分じゃ暴虐だの非道だのという言い伝えもだいぶ眉唾だぞ。
「そっちの色男は…」
端正が、ごくりと息を呑んで身構える。…ていうか色男イコール自分て完全に決めつけているのがもうな…。
「…知らんな」
「知らないんかい!!」
豪勢と端正が崩れ落ちる。そりゃそうだろう。孫堅軍にギリギリ従軍してたとしても、まだ十代とかだろう。
「そっちの白くてひょろ長いのも知らねぇや。知ってんのお前だけだわ…考えてみれば」
ずしり…と豪勢の肩に分厚い掌が乗る。節くれ立った、百度を超える実戦に身を投じ続けた猛者の腕だ。…大家の息子は何と云ったか、デブサイク?あいつにこの光景を見せてやりたい。一度は中原を制した英雄が、なす術もなく瘧のように
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