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後追い少年
いち

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「ん.........うるさ...あと1時間...」
不機嫌そうに眉を潜めながら布団の中から目覚まし時計に手を伸ばす。時刻は午前11時32分。世間一般ではとっくに人々は活動しているのだが、この家は他とは違った。
都市部のマンションの角部屋。南向きの日当たりのいい部屋。そこに2人は住んでいた。
エリート層に属するαの商社マンと行き場を無くしたΩの家出少年。2人は兄弟でも無ければ親子でも、まして年の離れた恋人でもなかった。
主人と拾われた犬。2人の関係性を最も正確に表すのだとすればこうだろう。男性は少年を愛で、少年は男性に尽くした。
周囲の人々は彼らの関係を異常だと否定したが、2人は気にも留めず関係を続けた。

あの茹だるような夏の夜までは。






望愛。苗字は言いたくありません。無いも同然です。歳は13。この冬には14になります。身長143cm、体重20kg台。血液型、AB型。髪の色、クリーム色。地毛。先日グレーのメッシュを入れました。目の色、エメラルドグリーン。遺伝。ノットカラコン。好きな食べ物、金平糖。嫌いな食べ物、カレーライス。好きな動物、猫。嫌いな動物、犬。
......あと何が知りたいですか?え、好きな人ですか?そんなの決まっているじゃないですか。我が愛しのご主人様ですよ。のあの全ては、命ですら最早あの人のものなのですから。

そうだったはずだったのですから。

...かなり不穏な言い方をしましたね。すみません。思わせぶりな態度って何だか大人っぽいじゃないですか。早く大人になりたいんですよ。誰だって1度はそうは思うでしょう?まぁ世間一般なんて、のあは知りませんが。知ろうともしませんが。

のあは2人の王国で「しあわせ」に暮らすことができればいいんですよ。
できませんでしたけどね。

おっと失礼。またです。やっぱりのあ、お話するのは苦手みたいです。敬語も得意じゃないですしね。まぁお話を聞いてもらう...聞いて頂く立場ですしね。頑張ります。
さて、では噺家ではありませんが、一つお付き合いください。そんなに長くないですよ。お話というか、愚痴というか、昔のことを思い出しながら零すだけですよ。それだけです。聞いてってくださいよ。そして終わったあと「ああこいつはなんて頭の緩い糞餓鬼なんだ」なんて罵倒されたら最高ですね。
では、ごせいちょう?ください。あなた達の好きな、ぼーいずらぶですよ。

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