260部分:炎の剣その一
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いた。
「ユリア、ユリウスの足下を狙え!」
ユリアはすぐにそれに従った。光の球をユリウスの足下に向けて放った。
右手に瘴気を貯めそれを雷光の様に放とうとしていたユリウスであったがユリアが光球を放って来たのに対し跳んでかわそうとした。
光球はユリウスの身体にはかすりもしなかった。だがその影は別であった。
光が床に映るユリウスの影を直撃した。するとユリウスの状況が一変した。
床に着地できず転げ落ちるとそのままもがき苦しみだした。
瞳から竜眼が消え爪が引っ込み牙も無くなっていた。指で喉を掻き毟り口から泡を吹き出し野獣の断末摩の様な呻き声を出し激しく痙攣している。
全身からあの禍々しく邪悪な気が消え去った。それまでドス黒かった表情も一変し穏やかなものとなった。
ユリウスはしゃがみ込みつつ二人の方を見た。その顔には最早敵意も殺意も無かった。
「セリス皇子・・・・・・ユリア・・・・・・!?」
声も少年の声であった。元の高く張りのあり力強さに満ちそれでいて澄んだ声であった。
「元の自分を取り戻せたな」
セリスはそれを見て言った。ユリアはユリウスの下へ駆け寄った。
そっとその両手で抱き締める。その瞳に涙が浮かんできた。
「ユリア、済まない。私は・・・・・・」
「良いのです、兄様は暗黒神に操られていただけです。そして今こうして私の下に戻って来て下さいました。それだけで、それだけで・・・・・・」
兄を強く抱き締めつつ涙をとめどなく流す。
「ユリア・・・・・・」
ユリウスも涙を流した。その涙が手の甲に落ちた時炎よりも熱く感じられた。
「油断するな、二人共。戦いはまだ終わってはいないぞ」
セリスの言葉にハッとした。消えた筈のあの気が感じられた。そちらを振り向いた。そこには見た事も無い様な巨大なおぞましい怪物がいた。
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