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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
66 崩れた仮面
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「何の用だい?」
「用?言わなきゃ分かんねぇか?」

彩斗は悪意の正体たちに囲まれながら、その動きを注意を払う。
8人のうち、2人はナイフ、3人がベレッタM92を忍ばせている。
体格を筆頭に服装も髪型もバラバラだが、皆に共通していることは1つだけあった。
彩斗1人に対して、憎しみや恨み、殺意、あらゆる負の感情を向けていることだ。

「お前みたいな奴が楽しそうに女連れてデカイ(ツラ)してんのがムカつくからだよ!」

シンクロを備えた彩斗には目の前の世界が真っ青に見えるほどの悪意が見えた。
理由はどうしようもなくつまらないものだが、中学生や高校生は自分が思っている以上に精神面は未発達だ。
普通の大人なら悪意の理由に成り得ないようなものでも、簡単に人を殺してしまうような悪意へと姿を変える。
彩斗は今まで幾つもこのようなくだらないものを見せつけられてきた。
だからこそ言えた。
言葉で彼らと解決の道を探すのは不可能だと。

「そこをどいてくれ。君たちに関係も用も無い」

無駄だとは分かっているが、一言だけ口にした。
しかし結果はやはりケラケラと笑うばかりで無意味だった。
彩斗はすぐに突入するであろう“事”に備え、こちらの装備を確認する。
腰に隠したトールショット、そしてメンテナンスに出した時計のリューズに仕込んでいたものと、今着けているシーマスターのヘリウムエスケープバルブに仕込んだ麻酔針が合計で2本。
彼らの持つ銃やナイフに比べれば殺傷能力は圧倒的に低いが、扱いやすさではこちらに軍配が上がる。
それに銃やナイフと違い、トールショットは彩斗にしか扱えない上、恐らくニホンの法律における銃刀法には抵触しない。
麻酔針も同様だろう。
仮に警察沙汰になっても、幾分かこちらが有利だ。

「…沢城くん」

他に武器になりそうなものは先程、本を買った時に一緒に買ったボールペンがあるものの、紙袋に入っている為、取り出すことで隙を生むことを考えると諦めた方がいいだろう。
彩斗は武器の面では見切りをつけ、七海を逃がす方法にシフトする。
8人からほぼ全方位を囲まれている以上、こちらの方が難易度としてはかなり高い。
悟られぬように右手をシーマスターに伸ばした。
ベゼルを回転させ、12時位置のポイントを10時位置に持ってくる。
これがヘリウムエスケープバルブに仕込んだ麻酔針のロックを解除する動作だった。

「じゃあオレたちがこの娘らとたっぷり楽しませてもらってもいいんだな?」
「なんだって?」

彩斗が自分たちを相手にしないと決め込んだのを見て、彼らは付け上がった。
同時にバス停の近くの柱の後ろに隠れていた1人が姿を見せた。
それもアイリスとメリーとともに。

「サイトくん……」
「兄さん…ごめんなさい
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