258部分:聖戦その三
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聖戦その三
「我が名はベルド。マンフロイ様と共にユリウス様に御仕えする者。この名にかけて貴様等をこれ以上先には進ませぬ」
そう言うとゆっくりと迫る。レヴィンが前に出て来た。
「言ってくれるな、邪神の僕共が。私を前にしてもそれが言えるかな」
「何」
ベルドはそれを聞いて白濁した眼で彼を見た。
「こういう事だ」
レヴィンは左手を横に振った。風の刃がベルドを襲う。
「ふん」
ベルドも右手を横に振るう。黒い瘴気が風の刃を打ち消した。
「行け、ここは私に任せろ」
レヴィンはセリスとユリアに言った。
「うん」
二人は頷いた。そして上へと続く階段へ向かう。
「ふむ。まあ良い」
ベルドはそれを黙って見逃した。
「ほお、やけに潔いな。貴様等暗黒教団にしては」
レヴィンが言った。
「どうやら上にはマンフロイがいるな。奴は幾日にも及ぶ戦いで疲れきった二人を倒す・・・・・・。そう考えているな」
ベルドは答えなかった。だが口の端を歪めた笑みがその答えであった。
「そしてもうすぐ城の内外で魔物達が一斉に甦り我々を襲うーーーー。真に手の込んだ計略だ」
レヴィンは言葉を続ける。ベルドはそれを聞きながら笑っている。
「天主に攻め込んだ我々も疲れが限界に来ている。最早気力で立っている状態だ。これ以上の戦闘は流石に無理だろう」
レヴィンの言う通りであった。城外でも魔物達との戦い以後ほぼ不眠不休で戦い続けた。皆気力のみで戦っていた。
しかしそれももう限界だ。
「あと人押しで我々は全滅だ。そこまで考えているとはな。だが・・・・・・」
今度はレヴィンが笑った。右手をゆっくりと横に出し上に掲げる。
「一つ誤算があったな。私にこの力があるのを知らなかったな」
レヴィンの手から数千万のエメラルドを集めたかの様な緑の光が放たれた。その緑の光は瞬く間に城の内外を包み込んだ。
セリスとユリアは階段を登っていた。その時緑の光に包まれた。心地良い美しく優しくそれでいて眩い光である。何か癒される光である。
「何、この光・・・・・・」
二人は光に包まれ見えなくなった。その中で光の一つ一つが身体の中に入っていくのを感じた。
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