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歌集「春雪花」
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 雲間より

  洩れし日差しの

   虚しける

 落ちし影さえ

    独りなりけり



 雲の間から柔らかな日差しが降り注ぐ…。

 風は冷たくとも、春はすぐそこまで来ているのだ。日差しは暖かく…大地を照らす…。

 しかし…私には虚しいだけだ…。

 その日差しは…色濃い影を落とし、その影は私に言う…お前は独りなのだ。


 私と言う影と同じ…独りなのだと…。



 寂しさも

  時が包みて

    優しげに

 想いてそぼ降る

    夜半の月かな



 どんなに愛しても…その愛は生涯叶わない…。

 それを解っていても…愛さずにはいられず、寂しさを打ち消すことも儘ならない…。

 だが…時は少しずつ寂しさを包み込み、そして空へと昇る月は、まるで憐れむように心を優しく抱く…。

 月影は静かに私を照し…寂しさは優しさを纏い、私の中へと降り注いだ…。




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