外伝
外伝《絶剣の弟子》H
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家を出て、電車に乗り、病院の最寄駅で降りたところでハタと気づく。
(何時に検査なんだ……)
時刻はもう昼頃。早起きしなきゃいけないと言うことから、検査は午前中に始まることになる。ひょっとするともう終わった頃だろうか。
とりあえず、向かうだけ向かってみる。ここは、都会と街の中間のような雰囲気で、街路樹が多く植わっているのでコンクリートジャングルといった印象は受けない。遠くに車の交通の音を聞くが、どちらかと言うと静かな雰囲気だった。
場所はすぐに分かった。それなりに大きな病院らしく、駐車場も広い。
駅からここまで人は疎らでユウキさんとは勿論すれ違わなかった。
「……行ってみるだけでも」
ばったり会えるかもなどと言う淡い期待をこの時点で捨て去り、エントランスに入っていく。正面に受付、横に休憩所があって人がそれなりにいる。特に見咎められることもなさそうだったので休憩所に入って行き、隅の方の席に腰を降ろす。と、そのすぐ後入院着を来た、恐らく少し年上の青年が近くに腰掛けた。
「ふぅ……」
リハビリ中なのか、歩行訓練機が脇に置いてある。その人はため息を1つ吐くとそれから手を離して後ろの壁に背を預けた。リハビリが必要な入院となると、かなり大怪我をしたのだろうか。もしかしたら、ユウキさんについて何か知っているかもしれない。
「……あ、あの」
「ん?俺か?」
「は、はい。あの、変なことをお聞きするようですが……ちょっと前まで僕と同い歳くらいの女の子がここに入院してませんでしたか?」
「同い歳か。君は……高校生か?」
「はい。高1です」
「……ふむ」
その青年は何故か、考えるそぶりよりこちらをじっと観察している。まるで、南光という存在そのものを見透かすように。
流石に居心地が悪いので、少し距離を取りつつ青年に声をかける。
「……あの」
「ああ、すまない。心当たりはないな。ただ、関係者以外は入れない病棟に入院していた10代の子が最近ニュースで話題になった程度だ……その子のことではないだろう?」
青年は全部分かった上でその可能性を否定する方向で返して来た。この何気ない会話の時点で主導権を取られたことに少し動揺と緊張感を覚えつつ、それでも話に乗るしか道はない為青年にそれを否定してみせる。
「……その子のことです」
「ほう」
青年はわざとらしく眉を吊り上げると、改めてこちらをじっと見つめた。その無言の圧力にはこちらに対する警戒心が含まれている気がした。それは当然とも言えるがしかし勘に近いが、この青年は病院関係者程ではないながら、俺の知りたいユウキさんについての情報を持っているような気がする。しかしその腹の内は中々読めず、相手に取り付かせないようなや
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