一章 小さき魔物 - 海竜と共生する都市イストポート -
第11話 飛竜 対 海竜 (1)
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が読めるの」
「そうじゃないけど」
「それとも俺に、モンスター側に味方してこの都市と戦ってほしいとでも?」
「そんなこと思ってないってば」
「だったら――あ、いや、ごめん……」
発言が半分八つ当たりになっていることに気付いたシドウは、両腕をテーブルに乗せ、大きく息を吐いた。
「もう討伐依頼は出た。俺がやらなければ、他の人間たちがやるだけの話だよ」
「じゃあ他の人に任せてもよかったのに」
「それだと、死人がたくさん出るかもしれないから……」
「……」
* * *
「大変だ! シーサーペントが港で暴れている!」
待機していた二人の元に、職員が慌ててそう知らせにきたのは、まだ午後の早い時間だった。
「……!」
「シドウ……」
――なぜだ。まだ回答待ちだったはずだ。
シドウは焦り、すぐに現地へ向かった。
川沿いを、急いで走る。
途中、慌てて避難していく市民ともすれ違った。
今避難しているのは遅すぎるが、シーサーペントはここ最近不穏な動きを見せてはいたものの、今まで都市を襲ったことなどはない。対応が遅くなるのも仕方がないだろう。
シドウとティアが現場近くに到着したときには、すでに惨状となっていた。
現場は二人が最初にシーサーペントと交信した場所の近く……のはずなのだが、景色がガラリと変化している。
並んでいたはずの倉庫などの建物が、ない。
代わりに、水浸しになった、瓦礫の山。
そして……いた。
船着き場のすぐ近くで、水中から首を立てているシーサーペントが。
魔法なのかどうか不明だが、周囲には渦を巻いた巨大な水柱が四本立っている。
そしてすでに、自警団や冒険者と思われる人間たちが何十人も、岸から少し距離を取って、半円状に取り囲んでいた。
その人間たちから、火魔法と思われる火球や、斜め上に構えられた何か――おそらくクロスボウ――から放たれた大量の矢が飛んでいる。
火魔法や矢はまったく効いているように見えないが、重そうな大剣や斧を持っている冒険者も控えている。
まずは遠隔攻撃し、上陸してきたら一斉に襲い掛かるのだろう。
「シドウ、どうしよう。もう始まっちゃってるみたいだよ!」
「ひとまず事情を聞きたい。行こう」
まだシドウはシーサーペント側に返事をしていなかった。それにもかかわらず、この事態。
返答するまでは待っていてほしい。そうお願いをし、シーサーペントも了承していたはずだ。
いったい何があったのか。それを聞かなければならない。
二人は、道具袋を適当なところへ置き、取り囲んでいる人間たちのところまで近づいた。
そして射撃の一時中止をお
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