暁 〜小説投稿サイト〜
四葉の双璧
一年生
横浜騒乱編
其ノ壹/再来
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ずれは点火に魔法師を必要とするだけの重力制御型核熱融合炉が実現できると確信します」

そして、割れんばかりの拍手が送られる。
鈴音も、五十里も、達也も、真由美も、一高生も。全員が、笑顔だった。

論文コンペの発表時間は三十分、交代時間は十分。その十分間という僅かな時間で、前の組はデモ装置を片付け、次の組は舞台のセッティングを終わらせなければならない。各校に代表とサポーターは、発表よりも寧ろ、この入れ替えの作業の方が忙しい。

そんな忙しい十分間、吉祥寺は、達也の方にやってきて、高らかに宣言する。

「僕たちも負けないよ。いや、今度こそ君に勝つ」

ふっ、と達也が珍しく笑い、言葉を返そうとする。

その時。

轟音と振動が、会場を揺るがした。


[03]

『サ゛サ゛…警告…、サ゛…対象ノ、拘束…サ゛…失敗…』

音声機能が壊れたのか、四葉特製の拘束用ロボットから、ノイズが混じった音が聞こえる。そのロボットは、半壊していた。寧ろ、その状態で音声機能が完全に壊れていない事について、驚いてもいい程に。
そんな状態のロボットを、少年???四葉貴将が、蹴り上げる。

「邪魔しやがって…」

そして、落ちてきたところを、踏み潰した。臓器の代わりに部品が。血液の代わりにオイルが飛び散る。しかし、そんな事には気を向けず、意識を魔法式の展開に向ける。
貴将の体の周りの想子が、ブワリと巻き上がり、尋常じゃないほどの量になる。

「さて、粗方掃除も終わったし…」

そう呟いた少年の頭上が、マグマの様に、光と熱を帯び出す。
そして、溶け出し、上に向けて押されていき。
少年は、呟く。

「往こうか」

旧長野県に近い、旧山梨県の山。
その奥、人里離れた村の中心で、街中で起これば大被害待った無しの大爆発が起きた。


現時刻、西暦二〇九五年十月三十日午後三時三十分。

後世において、人類史の転換期とされる「灼熱のハロウィン」。その発端となった「横浜事変」は、この時刻に発生したとされている。

また、同刻、四葉家最高機密、四葉家所属戦略級魔法師の、戦略級魔法師用監獄『ナルヴィ』からの脱走が確認された。

[04]

爆音が響きわたる中、一高の論文コンペを聴きに来た真夜と深夜は、最悪の報せを葉山から受けた。

「なっ!?きーくんが脱走!?」

「それは本当!?…は?擬似瞬間移動で高速移動中!?」

四葉の最高機密を大声でばら撒く程動揺している二人の声を聞き、達也と深雪、真由美の目の色が変わる。

「な…、貴将が?」

「貴将お兄様が…!?」

「貴将くんが!?」

三者三様に、驚愕の表情を浮かべ、慌て出す。テロの心配を差し置いて。
達也は自分のCADをチェック
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