一年生
横浜騒乱編
其ノ壹/再来
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達也に遠慮せずに話しかけられる数少ない人間の一人である深雪がおずおずとだが、達也に現実を突きつけてきたのだ。
「あぁ…。めんどくさいな…」
ボソッと呟きながらも、達也は現場に近づいていく。
その現場では何が起こっているのか。
エリカと花音が啀み合っていた。
「どうしたんですか?」
「「コイツが!!」」
二人が同時に達也を見て、声を張り上げる。
そしてその同時もいらただしいのか、また啀み合う。
はあ、と達也が息を吐くのも、仕方のない事かもしれない。
[02]
コンペ会場の通信ブースでは、藤林が会場の襲撃が「あり得る」では済まされない報せを受け取っていた。
風間からの緊急コールを受け、空きのブースを探し、他人に聞かれる心配が無くなってコールバックした彼女の音声通信ユニットから伝えられた言葉は。
「呂剛虎に逃げられた!?失礼ながら、確かな情報ですか?」
『信じたくない気持ちはわかるが、確かだ』
回線越しの声は、冗談を言っている声ではない。そもそも、風間はこんな質の悪い冗談は言わない。
『横須賀に向かっている途中の護送車が襲撃を受けた。生存者はいない』
「そして呂剛虎の死体も無かったという事ですね…。協会内の十師族には連絡を?」
『四葉には。特尉の参戦許可と、最悪、彼にも出張ってもらわなければならないからな。だが、それ以外はまだだ』
「それでは、小官が、連絡を…」
『ああ、頼んだぞ、少尉』
風間の指示に、見えないとは知りながら、藤林は敬礼した。
協会内。
真夜と深夜は、風間からの通信を受けて、悩んでいた。
原因は、最悪の場合、自らの力で枷を破って出てくるであろう、四葉貴将についてだった。
「どうしましょうかね…」
「もう、早めにきーくんを呼んでおく?」
真夜の提案に、深夜は反対する。
「ダメよ。貴将はまだ外に出すべきじゃないわ。…でも、準備くらいはしててもいいかもね」
最後に、深夜が意見を曲げたのは、真夜が一瞬でシュン、と落ち込んだからだ。
姉として、妹が落ち込むのは見れないらしい。こういうところは、人間らしい。
「じゃあ、葉山さんに準備だけ、させとくわね」
深夜の言葉を聞き、一瞬で表情が反転した真夜は、深夜の気分が変わらない内に、と急いで電話するのだった。
時刻は午前三時。第一高代表チームのプレゼンテーションは予定通りに始まった。
テーマは、「重力制御型核熱融合炉」。
リーダーは鈴音。達也は、補助。
発表は淡々と進んでいき、そしてこう締めくくられた。
「現時点では、この実験機を動かし続ける為に高ランクの魔法師が必要ですが、エネルギー回収効率の向上と設置型魔法による代替で、い
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