第3章:再会、繋がる絆
第92話「優しさの報酬」
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こに司を助ける手段が確立したのは、皆が起こした“奇蹟”だ。
「...見せてやるよ。“導王”の奇跡を...!」
―――そして、もう一つの“奇跡”を、ここに起こそう...!
「んっ...!」
魔力結晶を奏から受け取り、それを無理矢理飲みこむ。
幸い、魔力結晶は宝石のような形をしているから、喉で刺さる事はない。
「ちょっ、優輝!?」
「元々、この魔力結晶は僕の魔力でできたものだ。だから、無理矢理にでも飲みこめば、そのまま僕の体に馴染み、魔力が回復する。」
例え、回復するようにする魔力がなくても...な。
「リヒト!」
〈...今回ばかりは、見逃します!〉
リヒトが杖の形態に変わる。...これが本来のリヒトの姿だ。
「っ....。」
杖を握る手が痛む。...が、今は我慢だ。
時間もない。すぐに取り掛かる。
「...我が身は、人を導きし者。世を照らし、護るべきものを護りし光を持つ者。悪を敷き、善と為り、絶望を消し去る力を手に。導きの光をこの身に...!」
かつて、今世において初めてリヒトを使った時の起動ワードを呟く。
それと同時に、魔力が迸る。
「導きの時は来た!我は希望を紡ぎしもの!救われぬ者に救いを、報われぬ者に報いを与えよ!我が力、我が光は、人々の希望となろう!」
僕を中心に魔法陣が広がる。
本来ならもっと範囲が広くなるが、今回は部屋いっぱい程度に狭める。
「我が名は導王...導王ムート・メークリヒカイトなり!導きの力を以って、今、汝の“絶望”を打ち砕こう!」
リヒトが光に包まれ、それに呼応するように司の体も光に包まれる。
...そして、最後の言葉を紡ぐ。
「導きの光よ、今ここに!“導きを差し伸べし、救済の光”!!」
―――“奇跡”が、“絶望の未来”を蹂躙する。
リヒトの柄が床を打ち、魔法陣が光り輝く。
魔力が迸り、金色の光が司を優しく包み込む。
その光は、まさに“希望の光”。人を“未来”へと導く光だった。
衰弱し、血色の悪くなっていた顔はみるみる内に元に戻っていった。
「生命力が...!」
「これなら、もうしばらくは持つよ!」
ずっと霊力を流し続けていた椿と葵がそういう。
「クロノ!アースラを八束神社へ!そこで生命力を補う!」
「分かった!」
クロノにそう言って、アースラを八束神社へ向かうよう指示してもらう。
「っ.....!」
「優輝、その腕...。」
「大丈夫...!」
杖を握り続ける手が痛
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