第73話 零
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ているっすか?
木山の脳裏に金髪の髪をした少女に乗り移りサソリに攻撃して来たトビと全ての元凶である人間離れした身体を持つゼツが過った。
お前達のせいであの子達は......
「何故いまさら?」
眉をひそめながら木山はメールの本文にスクロールさせると調子良い感じの軽い本文と一つの写真データが添付されていた。
本文
だーれだ?
添付された写真データを開くと木山は頭を殴られたかのような衝撃を受けて、画面を掴み始める。
「!?」
そこにはカチューシャをした中学生くらいの女性が純白の制服を着て大きなガラスに力無く寄り掛かっている写真データだった。
木山は思わず立ち上がって息を早める。
その女性は左耳には黒いピアスがあり、片目は正気の無い紫色の波紋状をしている。
無論ピアスもだがこのような禍々しい眼が生得的であるとは残念ながら科学の見地から見出せない。
「はあはあ......貴様ら!」
それは学園都市に置き去りにされた身寄りのない子供であり、木山の教え子の成れの果てだった。
目が覚めているよりも
生きているよりも
彼女がどのような経験を経てこの眼を獲得したのか、耳に開けられたピアスの痛みを憂いで机に行き場のない怒りをぶつける。
せんせー
木山せんせー
せんせーの事信じているもん
怖くないよ
会わなかった時期に何があったのか?
部屋に来るだけで、シャワーを浴びるだけでキラキラとした無邪気な笑顔を振りまいていた彼女の面影は写真から読み取れない。
もはや水の味が金属のように感じだして流しで胃の中身を吐き出した。吐瀉物を蛇口を開いて水で流していく。
「げほげほ......まだ......まだあの子達を」
何度甘いコーヒーを飲もうが、ラベンダーの香りを嗅いでも脳まで侵食して来た薬品と血液の入り混じった香りと呆然と飲み込んでいた唾液の味は解ける事無く居座り続けている。
深夜に木山の神経を逆撫でする悪意の込もったメールの差出人を吐き気と共に反射的に出て来た涙で歪みながら静かに睨み付けた。
これほどまでに『協力者』という単語を憎んだ事がない。
握っているマウスを握りしめて左手で膝を叩いた。
ふざけるなよ......
あの子達の気持ちを踏み躙って......
その上......こんな姿に
かつて彼女が久しぶりのお風呂に入りながら語っていた微々たる夢が映像付きで蘇る。
私達は学園都市に育ててもらってるから
この街の役に立てるようになりたいなーって
******
学園都市のとある研究所のサーバールームに些か奇妙な風貌の男が中央に座りながら用意したモニターに目を落としていた。
ボサボサの黒髪には輪っか状に額から後頭部までグルリと一周するように特殊なゴー
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