第21夜 択一
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の意味を理解できなかったであろう――灯縄が二本接続されたペトロ・カンテラの意図に。
瞬間、ギルティーネの苛烈な殺意が実体化するかのように灯縄にカンテラの炎が着火。蓋方向に伸びた炎は――『火をつけられないまま浮遊させていた』二つのペトロカンテラに炎を灯し、三重に重ねた強炎の光が外灯の上までをも照らしあげた。
『ギガァアァアアアッ!?アガァ……ゲグッ!?』
自分が光に照らされたことで理性の欠片も感じられない汚い悲鳴を上げた呪獣は瞬時に光の外に脱出しようと跳躍し――ギルティーネが空中で操作したカンテラがさせまいと闇中を妖しく踊る。カンテラに巻き付いた巻き付いた燃え盛る縄は蛇のように有機的にうねり、跳躍の起動を完全に読み切っていた。
ガルドの使った呪法、『藁蛇(セルピエンテ・セカ)』。
それにペトロ・カンテラを組み合わせて火力を増強したトレック考案の新武器。『熱』と『樹』の高い素養が必要かつ操作難易度が高い代物だったが、トレックは使えなくともギルティーネなら可能。事前に確かめたが、わずか数分でまるで手足のように自在に動かせるようになった。
『グギアアアアアアアアアアアアッ!?』
空を飛べぬ呪獣は成すすべなく燃え盛る縄に突っ込んでその皮膚を焼き、空中で無様に悶え苦しむ。一度飛び立ってしまった以上、後は重力に従って地に落ちるのみ。縄に弾かれた呪獣は抵抗もできず落下する。
「――ッ!!」
瞬間、ギルティーネさんが剣を抜いて落下してきた呪獣を横薙ぎに叩き斬った。
火を灯さずとも剣はそれ自体が『錬』の呪法にとって最高の触媒。
呪法の力によって呪獣に致命的なダメージを与える事が可能になった剣によってその呪獣は細長く伸ばされた尻尾のような部分を瞬時に切断され、次の瞬間剛腕で振り下ろされた剣が呪獣を貫通して地面に激突し、腹の底を叩くような衝撃共に足場の岩に放射線状の罅を入れた。
「……はっ、はぁ……予想通りに動いたな、化け物が……!!」
頭に強い衝撃を受けたトレックは視界が混濁し平衡感覚がすこし狂っていたが、なんとかよろよろと立ち上がってギルティーネが剣を突き立てた場所へと移動する。
そこには、肉塊を無理やり蠍の形に変貌させたような悍ましい呪獣がいた。黒と紫の斑模様はまるで人間に不快感を与える為だけにそのような姿になったかのように毒々しい。その蠍の尻尾は、ギルティーネによって落下中に切断されていた。
呪法師と呪獣の戦いは、間違っても華々しいものではない。
殺すか殺されるか、それを刹那の合間に奪い合い、勝った方が殺す。ただそれだけだ。
求められるのは戦略と効率であり、結果に至る一切の無駄は全てが死に繋がる。
入念な準備をしても、戦いの結果が出るのは一瞬だ。
数多の呪
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