みほちんNOW完結記念企画編
美保鎮守府NOW-Side B- PART0
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女に宿る艦魂(ふなだま)の一部ですね。これで貴女は艦娘としての能力を失いますが、艦娘建造のデータを取る位には問題ない筈なので」
では、あの人に会う時には私は普通の女性として会う事になるのか。今度こそ、あの人に思いを告げられるのだろうか?そして、あの人は受け入れてくれるのだろうか?
「さぁ、進んで下さい」
言われるがまま、私は歩き出した。大怪我をしているというのに、その足取りは軽い。少し歩いただけで、突き当たりに着いてしまった。
「……あ、そうだ」
唐突に、何かを思い出したかのように少女が口を開く。
「私の一番多く呼ばれている名前をお教えします」
「『妖怪猫吊るし』。そう呼ぶ提督さんは多いですよ。そして加賀さん、ここでの記憶は消えるハズですが……わたしを恨まないで下さいね?」
は?それはどういう意味なのか、と聞く前にその答えは現れた……………私の足下に。
スコーンと抜けた床板(らしき物)。何の抵抗もなく落とされる感覚。気持ち悪い浮遊感。ヒモなしバンジーとかボッシュートというレベルじゃない。パラシュート無しのスカイダイビング。今置かれている状況はそれだった。そして海面が見えてきて叩き付けられた瞬間、私は二度目の死を覚悟しつつ、意識を手放した。
「ふぅ……」
あー疲れたー、とでも言いたげな顔で額の汗を拭う、妖怪猫吊るし。
「さてと、これで世界線の矛盾は解消され……ん?あれ、こっちの世界でもさっきの加賀さん出てくるじゃんよ〜。どうすんのコレ」
モニターらしき物を眺めてぼやく猫吊るし。ふと、その右手には先程抜き取った加賀の艦魂の残滓。
「こ れ だ !」
猫吊るしはパソコンのキーボードらしき物を操作してモニターの映す場面を切り替えていく。映し出されたのは加賀が沈んだ直後の沖ノ島海域。海面には、白ペンキで『カ』の文字が書かれた飛行甲板が浮いていた。
「よし、これに艦魂の残滓を注入して、因果率を操作……艦娘の復活を研究している学者?調度良いね。偶然を装って加賀の飛行甲板を回収させ、研究材料として提供させる。そして、艦魂と甲板に付着した血液から見事にさっきの加賀の生き写しが完成〜!と」
パチパチパチパチ、と独り寂しくモニターに向かって拍手をする猫吊るし。
「でもまぁ、所詮は魂の残り滓。どんな変質するかなんて私にも解らないけどね……まぁ、あの特異点の塊みたいな提督さんなら自力でなんとかするっしょ!」
アハハハハハー、と気楽に嗤う猫吊るしの声が響く。神の気紛れや悪戯等という物は、こうして案外身近で適当に引き起こされているのかも知れない……
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