244部分:雷神の涙その四
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ではない」
ティニーがいた。暫く見ない間に美しくなっている。
「ティニー・・・・・・」
彼女は優しく微笑みながら近付いて来る。
「イシュタル姉様、アルスターでのこと、覚えておられますか?」
彼女は問うてきた。
「決闘の約束ね。私が貴方の耳を噛んだ」
「はい。今その約束を果たしますわ」
そう言うとイシュタルの顔に近付きその額に接吻した。そして両手で彼女の頭を抱いた。
「和解の挨拶は相手の額への接吻でしたわね。これが私の答えです」
「ティニー・・・・・・」
「私をいつも妹と呼び可愛がって下さった姉様とどうして戦えましょう。姉様は今までも、そしてこれからもずっと私の優しい姉様です」
その言葉を聞いたイシュタルの黒い瞳から涙が零れた。
「許してくれるの、私を。貴女を敵と言った私を」
「許すも何も。姉様とこうしてお会い出来たことが何よりの喜びだというのに」
涙が止まらない。もうどうしても止められなかった。
「・・・・・・有り難う」
そう言うとティニーの腕の中で子供の様に泣きじゃくった。その姉を妹は母の様に優しく包んでいた。
光騎士団は全軍投降した。彼等は全軍解放軍に組み込まれ軍の一翼を担うこととなった。
イシュタルは解放軍が無血入城したドズル城の一室で客分として待遇を受けることとなった。セリスの配慮で捕虜にはならず解放軍への参加も本人の意思に任されることとなった。
「御姫様、いるかい」
扉をノックする音がする。
扉を開けた。そこには彼がいた。
「ファバルさん・・・・・・」
「どうしてるかと思ってな。差し入れ持って来たぜ」
そう言うと五羽の兎の丸焼きとそれと同じ数の酒樽を後ろから取り出した。
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