243部分:雷神の涙その三
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雷神の涙その三
「しかしイシュタル様とは交際が長く共に戦うこともあったのです。レンスターの戦いにはシレジア及びグランベル本土防衛の為参加しておりませんでしたがその強さは鬼神の如きです。とりわけその剣技は三人共私よりも上です」
「それは厄介だな」
アレスが言った。
「はい。試合において勝ったことがありません。彼女達が来るならば相当な覚悟が必要です」
「そうか、良い事を聞いた」
アレスが言った。先程の言葉とは正反対である。
「皆覚悟は出来たな。上からその連中が来たぞ」
上空から三騎のファルコンナイトを先頭に天馬達が舞い降りて来る。アレスはミストルティンを抜いた。戦いが始まった。
戦いは乱戦となった。上空から襲い掛かる天馬達は一撃離脱を繰り返し消耗を強いてくる。対する解放軍はリーフがメング、アレスがフレグの相手をしている。ラインハルトとブリアンは一度に十騎の天馬達の相手をしており指揮もままならない。
アーサーはエイベルの相手をしていた。
上から剣撃が次々と繰り出される。それを必死にかわす。こちらからも炎と雷を矢次早に撃つ。だがそれを華麗な舞いを舞う様にかわしている。
「やばいな。これはかなりの強敵だぞ」
アーサーは横に一閃した剣を後ろに身体を反らしてかわしつつ考えた。
「あれを使いしかないな」
エイベルは馬首を転じ天空へ舞い上がった。次には必殺の一撃を繰り出すつもりのようだ。
迷っている暇はない。今やらなければ逆にこちらがやられる。
「やるか」
使いこなせるか不安があった。だが使うしかない。アーサーは賭けた。
「ファラフレイム!」
アーサーの手首を合わせた形で開かれた両手の平から青い巨大な火球が放たれた。
馬程の大きさのその青い炎は凄まじい速さで急降下してくるエイベルに襲い掛かった。
火球がエイベルを直撃した。青い炎が爆発したように見えた。
エイベルはその全身も愛馬も全て青い炎に包まれた。彼女は燃えながらゆっくりと落ちていく。瞬く間に灰となり空から消え去った。
あまりのことに戦場は静まり返った。だがそれはすぐに解放軍の大歓声となった。これで戦局は一変した。
シアルフィ側の峡谷ではイシュタルが光騎士団の主力を率いて布陣していた。
指揮を執るイシュタルの顔は悲愴であった。まるで死出の旅に出るようであった。
「エッダの方はどうなっていますか?」
傍らに控える参謀の一人に問うた。
「連絡が取れません。無事だとよいのですが・・・・・・」
暗い顔である。彼の考えている事が悲しい程よくわかる。
「そうですか。健闘していればよいのですが」
それ以上は言わなかった。だがその時であった。
エッダの方から駆けてくる軍勢が現われた。
旗は解放軍の青いシアルフィの旗である
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