提督はBarにいる×ろくろう編・その2
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「うわ、ホントにお酒のお店みたいになってる……」
相馬中将の瑞鶴が唖然としながらそんな事を呟いている。まぁウチに初来店した人の第一印象なんて大体そんなモンだ。……しかし、『お酒のお店』と言われてしまうと何だか酒屋のようでコレジャナイ感が湧いてくる。変な拘りの部分なのだろうか。
「まぁお店みたいじゃなくて、実際店なんだけどな。さぁさぁ座った座った」
入り口で固まったままの団体さんを、店の奥へと導く。さぁて、楽しい宴にしようじゃないか。
「そういや翔鶴さん、ずっと抱えてるその箱はなんだい?」
カウンターに入ると同時に、相馬中将の嫁さんである翔鶴の抱えてる荷物について尋ねた。マメな気遣いの翔鶴の性格を考えると、何かしらの手土産だろうとは当たりを付けていたが。
「あ、すみません。大変お世話になった金城提督へのお礼にと思って、俺の故郷の品を色々と持ってきました」
と、翔鶴の代わりに語る相馬中将。
「わざわざ気遣いさせてすまんな」
「いえいえ!俺にしてみれば金城提督は人生の目標というか、道標というか……まぁそんな感じの人なので」
「あら、それならもっと嫁艦を増やすのかしら?」
加賀よ。何故お前は藪をつつくどころか火炎放射機で焼き払うような真似をするのか。
「「それはダメ!」」
ほれ見ろ、おっかない蛇が2匹も出てきたじゃないか。まぁそれは置いておいて、翔鶴に差し出された箱を開ける。中身もギッシリ詰まっていて、相当な散財だったろうに。まず目についたのはメロンだ。持ち重りもかなりの物で、熟した独特の甘い香りを放っている。
「立派なメロンだな」
「故郷の近くが産地なんですよ」
ほう、メロンの産地といえば何ヵ所か思い当たる所はあるが、どこだったろうか。前に来た時にも出身地の話をした気がするが……思い出せん。歳か?と、そんな疑問もすぐに瓦解した。酒呑みの俺へと選んだのだろう、日本酒の瓶が数本入っていた。その中の数本には数年前に流行った、女子高生が洗車を乗り回すアニメのラベリングがされていた。
「月乃井酒造……あぁ、そういや相馬中将の地元は大洗だったか」
「えぇ。あそこもアニメの『聖地』になってから知名度がグンと上がりました」
その感覚は理解できる。何せウチの地元もNHKの朝ドラ効果で観光資源が急激に増加した地域だからな。どのドラマかって?『〇〇ちゃん』て書いとけば大体わかるだろ?
最後にそこの方から出てきたのは、
「こいつぁ……シジミか」
「ウチの親父がシジミ漁やってましてね。獲れたての奴を送ってもらいました」
そういやぁ大洗の辺りにシジミの一大産地があったっけな。折角だし、こいつで今夜の料理をするとしますか。
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