提督はBarにいる×ろくろう編・その1
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じゃないかと疑うわ。
「うわぁ……あたしってば凄い恥ずかしい。穴が有ったら入りたい気分だわ…」
「あら、それなら墓穴掘ってあげましょうか?」
滑走路から店に向かう道すがら、赤面した瑞鶴をからかう加賀。
「止めんか、アホ」
軽く頭をペシッとやると、恨みがましそうに此方を睨んでくる。加賀よ、お前さんのポーカーフェイスで冗談言うと本気に聞こえる奴が居るんだよ。お前が実はどぎついジョークが好きなのは知ってるが、他鎮守府からのお客相手には止めておけ……割とマジで。
「やめてよ加賀さ〜ん。一応私と同型なんだからさぁ、何か自分がやられてるみたいでイヤ」
「……そう?瑞鶴がそういうなら止めておくわ」
そんなウチの瑞鶴と加賀のやり取りを、有り得ない物でも見るかのような顔で眺めている相馬中将の瑞鶴。実際(゚д゚)こんな顔して開いた口が塞がらない、といった様子だ。しかし、ウチの鎮守府では他の鎮守府でよく聞く加賀と瑞鶴の対立は殆ど無く、良き先輩後輩の関係を築けている。前に加賀本人にその理由を聞いた所、原因は俺であるらしい。
今の加賀は知っての通り2代目だ。俺の提督業の大きなターニングポイントになった、初代加賀の轟沈。あれをきっかけに生まれたのがウチの鎮守府独自の『新人教育カリキュラム』だ。最初の内は俺自身が艦娘達をシゴき、今のカリキュラムの10倍はキツかったと当時カリキュラムを受講した連中は語る。そんな中に加賀もいたのだ。
そして俺がカリキュラムの教官から外れた辺りに着任したのが翔鶴・瑞鶴の五航戦姉妹。教官役を果たしたのが加賀だった。彼女の口癖が『提督直々のシゴキはこの10倍はキツかった』だったらしく、まだ反抗心の塊だった瑞鶴は、カリキュラム終了後に俺個人に1週間の特別メニュー追加を直訴。
『加賀さんがこなしたんなら私は楽勝でクリアーしてみせる!』
と豪語してみせた。当然自他共に認めるドSの俺はヒートアップしない筈がなく、徹底的にしごいてやった。瑞鶴はぼろ雑巾のようになったが、これを涼しい顔でこなしていたという加賀の話を聞き、反抗心は憧れと尊敬に変わったのだ。そんな素直になった後輩を可愛いと思いこそすれ、憎たらしいとは思わない加賀。いつしか他の鎮守府にはあまり見られない『仲の良いずい×かがコンビ』という図式が誕生したのだ。
『案外相馬中将のトコの加賀も、感情を上手く出せてねぇだけだと思うんだがねぇ……。ま、そこに気付くかは本人次第ってね』
俺は心の中でそう思うだけで、口出しはしない。そういうのは本人達が気付いてこそ意義のある物だ。尋ねられればアドバイスこそするが、意見の押し付けはしない。……おっと、そんな事を考えてる内に店の前じゃねぇか。
「さぁ着いたぞ。ようこそ
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