忘却
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い」
「どういう、ことだ・・・!?」
「・・・ごめん」
そう言い残してシューは店の裏へと走って消えていった。
その場に残されたシオンは何も聞けないままただシューが消えていった先を見つめることしかできなかった。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
僕はずるい人間だ?????
何も話さず、悟らせない。それが僕という人間、のはずだった。
なのに・・・
「シュー兄、どうしたの?」
自分の名を呼ばれ我に帰ると、目の前には頭を巨大な機械《メディキュヴォイド》に覆われた少女『紺野木綿季』がスピーカー越しに話しかけていた。
「あぁ、なんでもないよ。それで?どんな人が入ってきたの?」
シューは彼女がALOで所属しているギルド《スリーピングナイツ》に助っ人として加入したプレイヤーについて聞いてみた。すると気持ちが高ぶったのか、上ずった声で嬉しそうに話し始めた。
「うん!それがね!すっごく綺麗な人でね!すっごく強いんだ!」
あまりの情報の欠如に苦笑いするも彼は木綿季に再び聞いてみた。
「そう。それで種族は?」
「ウンディーネだよ。すっごく速いレイピア使いだった!」
ウンディーネ、速いレイピア使い。その特徴だけで彼の頭の中に一人のプレイヤーが浮かび上がった。
「うちの知り合いにも一人いたなウンディーネのレイピア使い」
「もしかしてその人だったりしてね」
「ハハッ、ありえるかもね!」
そんな風に笑い飛ばしていると、木綿季はふと声音を変え、シューに聞いた。
「ねぇ、シュー兄。やっぱり受ける気は無いの?・・・手術」
「・・・・・」
「手術を受ければボクだけじゃない。シュー兄だって助かるんだよ?」
「大丈夫だよ。イギリスに腕の立つ医者いるって言ってたし、僕は木綿季に提供するだけ。今の医療なら負担は殆ど無いよ」
「でも、先生は・・・」
木綿季は食い下がることなく話し続けるが、シューは首を立つ横に振る。
「これは僕の罪であり、業であり、戒めだ。償いが終わるまでは僕はコイツと一生過ごしていかなくちゃいけないんだ」
そう言ってシャツの胸のあたりを握りしめて、悲しい表情を浮かべた。
『こんな気持ち、忘れられたら幸せなのかな・・・』
忘却はより良い前進を生む?????
そんな言葉を彼の頭の片隅にはあった。
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