DAY BREAK
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てねえ…?》
ひと悶着ありながらもレストランを出て、ナツ達は豪邸の前にいた。圧倒的な存在感を放つ大きな屋敷を見上げて、結局メイド作戦で行く事になった為にメイド服のままのルーシィが感嘆の声を漏らす。
「立派な屋敷ねー、ここがエバルー公爵の……」
「いいえ、依頼主の方です」
「そっか……本一冊に二十万Jも出す人だもんね、お金持ちなんだあ」
生活にかなりの余裕がない限り、一冊の本の為にあんな高額な報酬は用意出来ないだろう。が、こんなに立派な豪邸に住んでいる金持ちだというなら納得出来る。二十万くらいなら、ポンと用意出来てしまえそうだ。
地図を広げるハッピーの隣を歩いていたナツが、大きく重そうな扉をノックする。コンコン、と二つ音を鳴らすが、扉は前にも後ろにも動かない。留守だろうか、と思いつつ再度ノックをしようと、一度降ろした手をナツが上げかける、と。
「どちら様で?」
開かないままの扉の奥から声がした。声からして男性だろうか。一先ず、依頼主は家にいるらしい。
「魔導士ギルド、妖精…」
「!!!しっ!!!静かに!!!」
どちら様と聞かれ答えかけたナツの言葉を、扉の奥からの声が急に遮る。どこか焦ったような慌てたような声色で突然遮られたナツが思わず口を噤むと、今度は申し訳なさそうな声がかけられた。
「すみません…裏口から入っていただけますか?」
訳の解らないまま、とりあえず言われた通りに裏口に回る。そっと開いた裏口から顔を出した依頼主に案内されて屋敷に入った三人は、案内されるまま客間のソファに腰かけていた。
「先ほどはとんだ失礼を……私が依頼主のカービィ・メロンです。こっちは私の妻」
裏口からここまで案内してくれた依頼主―――カービィは、自己紹介を簡単に済ませてから向かい側のソファに座る。人数分の紅茶を盆に乗せた彼の妻は傍らに立ち、ぺこりと小さく頭を下げてから湯気の立つティーカップをテーブルに乗せていった。
「美味そうな名前だな」
「メロン!」
「ちょっと!!失礼よ!!」
「あはは!よく言われるんですよ」
失礼にも程があるナツとハッピーの言葉を注意するが、当のカービィはあまり気にした様子もなく笑っている。
……因みに、二人は依頼主の名前を聞いて果物を連想したようだが、ルーシィはというと全く違った。ぱっと脳裏に浮かんだのは二つ。一つは、そういえばニアと二人でマグノリアを目指していた頃、名前の響きが猫の鳴き声に似ているとニアをからかった男がいたなあ、だった。確かあれはルーシィがナンパされてしまった時の事で、間に入ったニアの名前を聞いたその男は嘲るように「男の嫉妬は見苦しいぜ、にゃーくん?」なんて言ってのけたのだ。
その後
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